
2100年には産業革命前より気温が4℃上昇、猛暑日と熱帯夜の日数が増え、干ばつが進む一方で豪雨が増える。フランス気象庁が3月20日に公表した報告書は、今世紀末のそんなフランスの様子を描いている。
フランスや欧州は世界の他の地域より温暖化が速く進むと見られており、現在の世界の温暖化対策が変わらないなら、フランスの温暖化は産業革命前に比べて2030年に+2℃、2050年で+2.7℃、2100年で+4℃と予想される。
温暖化+4℃のフランスは、最高気温が35℃を超える猛暑日が1976-2005年の隔年で1日に対して8日間になる。つまりパリの猛暑日数は現在の南仏並みになり、南仏マルセイユは年間20日超に。また、2050年には50℃に達する地域が出てくる可能性も十分にあるという。猛暑日が発生する期間は5月半ば~9月末に拡大し、2ヵ月続く可能性もある。熱帯夜(仏では最低気温が20℃を超える日)は現在年間で平均2日だが、2050年には7日、2100年には南仏なら100~120日に達する。
当然、農業への影響は大きく、ある程度の寒冷を必要とする作物は育たなくなり、気温上昇で害虫が増加。集中豪雨が頻繁になる一方で、干ばつのリスクも高まっていく。2100年には仏の北半分は乾燥土壌が4~5ヵ月あり、地中海地域は7ヵ月以上に。森林火災のリスクは南仏だけでなく、ロワール川流域やパリ盆地でも高まる。当然、雪の降る日は減り、南アルプスの標高1800mでも1990年代の年間132日の降雪日に対して、2100年は52日に減る。
政府は気候変動適応計画で猛暑対応のための住宅改善や農作物の適応など52の施策を提案しているが、それだけでは不十分で資金も十分に確保できていないと専門家は見る。炭素削減政策も足踏み状態だ。今世紀に入ってすでに25年が経った。2100年はそう遠い未来ではない。(し)
