Paris 1874 Inventer l’impressionnisme
まだ「印象派」という名称がなかった1874年4月15日、オペラ座に近い、かつて写真家ナダールがスタジオとして使っていた建物のなかで、後に印象派と称されるアーティストたちが 「共同出資会社」 展を開催した。各々が会費を払う共同出資の形をとったことに由来する名前だった。権威ある公募展の官展(ル・サロン)に落選したアーティストが買い手を見つけられるチャンスだった。これが後に「印象派展」と呼ばれることになった。
印象派展は、1886年まで8回開催された。オルセー美術館での本展覧会では一回目を大きく取り上げ、2回目、3回目を簡単に紹介する。一回目にはモネ、ピサロ、ルノワール、モリゾ、セザンヌ、ドガなど31人が参加した。
本展では、観客や批評家の反応、モデルについての説明などを付けて、印象派展に出品された作品を展示している。当時の展覧会カタログと出展作品を目の当たりにして、一回目がどんなものだったかを初めて実感できた。官展とは違うことを見せるため、会場では同じ年に開催された官展の出展品も見せている。技術力はあるがアカデミックで、テーマは歴史物や神話などだ。
印象派の中には、作品を見てもらう機会を増やすため官展にも出した画家もいた。作品の説明プレートには、何年のどの展覧会に出したかが明記されているので、印象派の中でもどんな作品が官展に通ったかがわかる。
印象派が好んだ、同時代人が戸外で活動するような題材は官展に影響を与え、官展でもこうした新しいテーマの作品が当選するようになった。マネのように官展で勝負したいからと印象派展には出さなかった画家や、モネに戸外で描くことを教え、一回目には出展していたものの、印象派とは一線を引いたブーダンのような画家もおり、印象派とその周辺の人間模様が見えてくる。
1回目の展覧会に出て「印象派」という言葉の元となったモネの「印象・日の出」は、会場の後半でやっと登場する。7/14まで
[VR]Un soir avec les impressionnistes Paris 1874
「パリ、1874年 印象派画家と過ごす一夜」
オルセーでは学芸員監修のVR 「パリ、1874年 印象派画家と過ごす一夜」(8/11まで)も体験できる。モネ、ピサロ、ルノワール、モリゾほか31人の画家たちの、美術史にのこる展覧会オープニングの晩にタイムスリップ。「印象・日の出」を描くモネにも会える。
32€/美術館チケットがある人は16€。ネット予約要。
billetterie.musee-orsay.fr/fr-FR/accueil
Musée d'Orsay
Adresse : Esplanade Valéry Giscard d'Estaing, 75007 Paris , Franceアクセス : M°Solférino
URL : https://www.musee-orsay.frsersay
月休、火-日 9h30-18h 木-21h45 16€/13€/木曜18h以降は12€ 第一日曜無料だが要予約。