Les Franciscaines (Deauville)
ザオ・ウーキー もうひとつの世界への通り道
Zao Wou-Ki, Les allées d’un autre monde
ドーヴィルのフランシスコ派修道院を改装した総合文化施設 「レ・フランシスケーヌ」では、中国出身の叙情的抽象画家ザオ・ウーキー(趙無極1920-2013)の晩年の作品を展示している。入ってすぐ見えるのは「モネへのオマージュ」と題した大作だ(上の画像)。左側の木は墨で描いたように見える。水面には睡蓮の花を思わせるピンクの靄 (もや)がかかっている。ノルマンディーのモネの家の庭と重なる風景だ。
ザオは名家に生まれ、美術学校で教鞭をとった後、28歳で渡仏した。本展では、水彩、陶芸、挿絵本、石碑などあまり知られていないジャンルの作品を多く展示している。パリに来て間もない頃の、具象が残る版画がザオらしくなくて面白い。アンリ・ミショーなど詩人の作品につけた版画の挿絵本も展示されている。
最晩年は油彩が描けなくなり水彩を手がけた。水彩も絵付けした磁器も、晩年になるほど細い線が重なる絵になっている。ザオは2005年からアルツハイマー病にかかっていた。作風の変化はこの病気と関係があるようだ。抽象表現主義の画家、ウィレム・デ・クーニングも同じ病気にかかってから作風がガラリと変わった。
ドーヴィルの新しい人気スポット「レ・フランシスケーヌ』
フランシスケーヌの建物もぜひ見てほしい。修道院の回廊の部分が展覧会場、図書館、カフェで、中央のスペースがイベント会場だ。上階にはソファのある図書室、ノルマンディーを描いた画家アンドレ・アンブールの美術館、横になってビデオを見られるコーナーがある。ポンピドゥ・センターの人も視察に来たほどの、時代の最先端を行く複合文化施設である。5/26まで
★Le Réfectoire : 館内には中央に大テーブルがあるカフェ・レストラン 「レフェクトワール」(修道院などの食堂の意)が開館日の10h30-18h30と、イベントのある晩営業。
これからの季節、広いテラスも利用したい。
★ノルマンディー印象派フェスティバル
「印象派」誕生150年となる今年は、ノルマンディー地方全体で150のイベント。
プログラムはこちらの公式サイトから。
Les Franciscaines
Adresse : 145 bis av. de la République, 14800 Deauville , Franceアクセス : 国鉄パリSaint-Lazare駅からTrouville-Deauvilleまで約2時間10分。 駅から徒歩18分。
URL : https://lesfranciscaines.fr
月休、火-日 : 10h30h - 18h30 入館料:13€/5€/16歳未満無料