ティナ・モドッティ(1896-1942)は16歳で故郷イタリアから米国に移住し、カリフォルニアで芸術家たちと交流し、メキシコで写真家となった。政治活動と恋に没頭した波乱万丈の生涯に目が行きがちだが、「ジュ・ド・ポーム」の展覧会では、私生活よりも写真家としての目線と力量に重点を置いている。
イタリアでは13歳で学校を辞め、働いで家計を助けた。米国で写真家、エドワード・ウェストンのモデル、愛人、助手になり、写真技術を習得。メキシコ革命が一段落した1923年に二人でメキシコに移住し、写真スタジオを開いた。
モドッティはウェストンから造形美を学んだ後、自分のテーマを発展させていった。女性であること、移民であること、下層階級出身であることを忘れず、貧困の中で生き、デモをする農民や労働者たちを仲間のような視線で捉えた。社会正義、労働者の権利など彼女には写真で伝えたいものがあった。旗を持ちしっかりとした足取りで歩く先住民の女性は、モドッティ自身の姿と重なる。母と子を撮った写真も多い。
ウェストンはモデルにポーズをつけて撮ったが、モドッティは赤ん坊に乳を含ませる自然体のモデルを撮った。「米国ではいつも外国人だが、メキシコでは自分の国にいるよう」と言うほどメキシコ人になった。
1927年にメキシコ共産党に入党。ディエゴ・リベラ、フリーダ・カーロとも友達だった。のちの経歴からは想像できないが、ハリウッドで無声映画の女優をし、メキシコ人の役を演じた。その作品「The Tiger’s Coat」が展示室で上映されているので、ぜひ見てほしい。5/12まで(羽)
Jeu de Paume
Adresse : 1 pl. de la Concorde, 75001 Parisアクセス : M°Concorde
URL : https://jeudepaume.org/evenement/exposition-tina-modotti/
月休、火11h-21h、水-日11h-19h 12€/9€/7.5€。