“Figurations. Un autre art d’aujourd’hui”
「具象画は抽象画の影に隠れてしまったかのように見えるが、再認識され始めている」と、美術誌「コネサンス・デ・ザール」の編集ディレクターで美術評論家のギイ・ボワイエは言う。彼をコミッショナーに迎え、1950年代から2000年までの具象画家の中でも、一般に知られていなかったり、生前有名だったが忘れられた画家に光を当てた。
米国でも日本でも大人気なのに、フランスの美術館から無視されているアンドリュー・ワイエス、光を描き続けたジャック・トリュフェミュス、昨年パリのオランジュリー美術館での回顧展が大好評だったサム・スザフランなど、愛好家には知られた画家から始まり、1970年代生まれの画家まで35人を紹介している。
技術よりも、作品から感情や感性が感じられることを選択基準にした。気になったのが、「60年代は美術評論家がこぞって取り上げたが、死後すっかり忘れ去られた」レオナルド・クレモニーニだ。ノスタルジーを感じさせる美しい色調で、浴室や海辺の奇妙に沈黙した風景を描いている。
「社会的なテーマは具象だからこそ描ける」とコミッショナー。それが特にわかるのが、近代的なビルとスラム街が隣り合わせのパリ郊外の風景を描き、60年代に始まった都市計画の明暗を如実に見せたユルグ・クライエンビュールだ。
ドミニク・ランソンの自画像も忘れ難い。イーゼルの前の自分を容赦なしに描いた。別館のオランジュリー(温室)では、それより若い世代の3人展を36日ごとに顔ぶれを替えて開催。10/22まで(羽)
カイユボットの家(Maison de Caillebotte)
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「カイユボットの家」は、印象派の画家ギュスターヴ・カイユボット(1848-94)が少年期を過ごした邸宅。カイユボットが住んでいた当時のようすを再現し、一般公開しているものです(カイユボットの作品は所蔵していません)。邸宅に隣接したオランジュリーでは定期的に展覧会が開催され、広い庭園は公園として、イエール市民の憩いの場になっています。
Maison Caillebotte
Adresse : 8 rue de Concy, 91330 Yerres , FranceパリGare de LyonからMelun行きのRER D線で Yerres 下車 (20分)、徒歩10分。またはバスF線。 カイユボット邸と特別展:火〜日14 h-18h30。12€/8€。 庭園は毎日9h-20h、10月〜3月は-18h30