Somen façon bo bun
パリには数多くのベトナム系レストランがあってにぎわっているが、そんな店で一番人気といってもいい料理がボブンbo bun。boは牛肉、bunはビーフンを意味するのだが、名前どおり、細いビーフンにさまざまな生野菜が混ぜ込んであって、牛肉をいためたものがのっている。ぼくはときどきビーフンのかわりにそうめんを使うのだが、これもなかなか好評なのだ。
まずニョクマムのソースを作る(下コラム参照)。
次は野菜の具を用意する。ニンジンは甘酢漬けにしてもいいのだが、ぼくはせん切りにし、軽く塩もみにするだけだ。キュウリはせん切り。玉ネギは四つに切り分けてから薄く切る。モヤシは、生のままの方が歯ごたえがあってうまい。レタスは、小さく切り分ける。
ピーナッツも欠かせないのだが、塩味がついているものは避けること、塩気なしの煎ったものgrillé natureか、それが見つからなかったら生ピーナッツを買ってきて、フライパンで軽く色がつくまで弱火で煎る。これをすり鉢にとって、すりこぎを押しつけながら細かくくだいておく。
肉の具は、牛肉のレモングラス風味(下コラム参照)が定番のなのだが、今回は鶏肉のショウガ風味にした。鶏のもも肉の皮と骨をとりのぞき、箸でも食べやすい大きさにそぎ切りにし、ボウルにとる。おろしショウガ、オイスターソース、しょう油、酒を混ぜ入れ、軽く塩、多めにコショウし、30分ほどおいてから、ゴマ油でいためる。
ここまで準備したら、そうめんをゆで上げるのだが少し固めがいいだろう。ゆでたら冷水の中でもんでぬめりをとり、パソワールにあけて水気をしっかりと切る。
各人のどんぶりに、そうめんと野菜を1/4ずつ入れ、ニョクマムのソースを大さじ3、4杯注ぎ、鶏肉のショウガ風味をのせ、ピーナッツを振りかけ、好みで、コリアンダーやミントの葉を散らせば、ベトナム風そうめん。ライムの酸味がきいていて、さわやかでいながら栄養満点、暑いときにうってつけだ。(真)
【材料4人分】
そうめん350g、鶏もも肉2本、ニンジン1、2本、玉ネギ1個、キュウリはフランスの大きなものなら1/3本、モヤシ適量、レタス適量、ピーナッツひとつかみ、ニョクマムのソース、ミントの葉少々、コリアンダーの葉少々、ゴマ油
【鶏肉のたれ】
ショウガ適量、オイスターソース大さじ1杯、しょう油少々、酒少々、塩、コショウ
Bo bun
ボブンは、ベトナムの名物料理で、フランスのベトナムレストランのメニューに必ずのっているものだ。生野菜がたっぷり入って栄養のバランスが素晴らしい上に、1杯10ユーロ前後というのもうれしい。ふつうは、半分に切り分けられたネム(揚げ春巻き)が入っていて、ネムの歯ごたえがあってボブンがさらにうまくなる。これをbun cha gioというのだが、70年代末にポル=ポト政権の弾圧を逃れてカンボジアからパリに避難してきた人たちが考案したものだという。
Bœuf sauté à la citronnelle
牛肉は、脂身のほとんどないランプrumsteckを400グラム、薄く切ってからせん切りにする。レモングラス2本は、根に近い白く太めの部分だけを使うのだが、ひと皮むいてからおろす。玉ネギ1個とニンニク2片はみじん切り。以上をボウルにとり、オイスターソース大さじ1杯、しょう油大さじ1杯、水あるいは酒大さじ1杯を加え、コショウをたっぷりひき入れ、混ぜ合わせる。30分ほど漬けこんでから、ゴマ油でいためる。ボブンの具になるだけでなく、細切りにした緑ピーマンといっしょにいためれば、ごはんがすすむ。
Sauce au nuoc mam
ベトナム料理の独特のうま味のもとは、ニョクマム(タイではナムプラーという魚醤)。小魚と塩を、大きな壺にぎっしりとつめ、1年ほど熟成させて魚を液化させ、その液体だけをこしてびん詰めにする。サラダや揚げ物などにニョクマムがベースのソースが使われるだけでなく、カレーや煮物にも入る。今回のレシピのソースの分量は、ニョクマム大さじ4杯、ライム(レモン)のしぼり汁大さじ3,4杯、砂糖大さじ1,2杯、水大さじ8~10杯くらい。好みでは唐辛子少々も加える。何度か作ってみて、好みの割合をみつけて下さい。