国立図書館 (BnF)リシュリュー館は5世紀にわたって様々な増築や改修を経て現在まで継続する欧州最古の公共図書館のひとつ。1368年の王室文庫設置から、1537年のフランソワ1世による納本制度導入、そして1666年に財務総監コルベールがヴィヴィエンヌ通りの建物内に設けた王室図書館が1721年、通りの向かいのマザラン宰相の旧邸に移って以来、現在地にある。
1998年にBnFフランソワ・ミッテランが完成し、ほとんどの印刷物はそちらに移ったが、以後も美術関係専門の別館として使われた。2011年から12年の歳月と2億6130万€をかけて22年9月に全面改修オープンした。
改修はブリュノ・ゴダン、ヴィルジニー・ブレガル両氏が設計。文化遺産に指定されたスペースを修復・保存しながら新たな空間を加えて再編し、利用者に使いやすい 「開かれた図書館」にするための思い切った近代化も実施。ファサードもきれいになった。
工事の第1段階(2011-16年)はリシュリュー通り側のラブルスト閲覧室(1868年築、写真上)、建物の2階部分をつなぐガラスの渡り廊下など、第2段階(2016-21年)は「楕円形閲覧室」(Salle Ovale冒頭の写真)、ギャラリー・マザラン、ギャラリー・マンサールと4つの展示室(ミュゼ)、ルイ15世のサロン、地下から2階までつなぐアルミのらせん階段、入口ホールなどを整備。1897~1932年築の楕円形閲覧室は一般の人が自由に入れるスペース(160席)になっている。
BD(バンド・デシネ)9000点という仏最大のコレクションを含む2万点の美術書、BnF目録、辞書、百科事典のほか、TVゲームなどのマルチメディアが自由に利用できる。高さ18mの楕円形のガラス天井と16の丸窓から自然光がふんだんに入り、それを支えるイオニア式の鉄柱やモザイクが優雅だ。
ラブルスト室、手稿閲覧室、美術・スペクタクル閲覧室などは学生・研究者向けの要登録制だが、楕円形閲覧室以外にもミュゼ部分(有料)、本屋、カフェ、庭園などはだれでも入れる。まさに明るく開かれた図書館に生まれ変わった。(し)
王室文庫時代からの所蔵品を展示するミュゼ
BnFの起源は王室文庫なので、リシュリュー館には美術品、地図、地球儀、コイン、メダル、宝飾品、デッサン、版画、衣装、手稿などが多数所蔵されている(書物含め全2200万点)。
うち900点が、改修工事で整備された2階の4つの展示室(古代ギリシャ・ローマ、宝飾品、メダル)とギャラリー・マザラン(17世紀築)の計1200㎡に展示。同ギャラリーの展示品は破損しやすい品々なので4ヵ月毎に入れ替え。
これらミュゼ部分には、大日本印刷がメセナとして開発した、細部を様々な角度から鑑賞できるインタラクティブなタッチパネルがある。1階中央のギャラリー・マンサールでは年に2回企画展が開かれ、ドガのデッサン版画展が開催中(9/3まで)。
● BnF-Site Richelieu
5, rue Vivienne / 58, rue de Richelieu 2e
火-日:10h-18h (火-20h)
M°Bourse/Palais-Royal/Pyramides
ミュゼ10/8€、企画展10/8€、合同券13/10€、楕円形閲覧室は無料
ガイド付見学は歴史・建築/企画展/ミュゼの各テーマで9-15€ 要予約
www.bnf.fr/fr/richelieu
BnF-Site Richelieu
Adresse : 5, rue Vivienne / 58, rue de Richelieu, 75002 ParisURL : https://www.bnf.fr/fr/richelieu