Füssli – Entre rêve et fantastique
ヨハン・ハインリヒ・フュースリー(1741-1825)は、光と影の対比と人物の動きで劇的な効果を出すのがうまい。本展では、「夢魔」、「マクベス夫人」といった有名な油彩に加えて、繊細な水彩もあり、フュースリーの魅力をくまなく見せてくれる。
スイスの美術史家の家に生まれ、父の意思に沿って聖職者になるはずだった。しかし、ある事件がきっかけでスイスを離れざるを得なくなり、移住した英国で彼の画家人生が始まった。画家のジョシュア・レノルズにデッサンを見せたところ、美術に専念することを強く勧められたのだ。
絵筆を握ったのは20代半ばで、しかも独学だったが、後年、ロイヤル・アカデミー・オヴ・アーツの教授にまで上り詰めた。教え子にはジョン・コンスタブルがいる。
文学に造詣が深く、シェイクスピアの劇作、ミルトンの詩「失楽園」、聖書、北欧神話を題材にした作品を制作した。松明を持ってさまよう「夢遊病に冒されたマクベス夫人」では、夫人の表情と体の動きからただならぬものが感じられる。
「夢魔」には二つのヴァリエーションがある。背景に悪魔が描かれていなくても、のけぞった女性の寝姿で、夢の中の彼女の意識が想像できる。制作されたのは、フロイトの「夢判断」が出版される100年前。フロイトは未来を先取りしたこの作品を気に入っていたという。1月23日まで(羽)
Musée Jacquemart-André
Adresse : 158 boulevard Haussmann, 75008 ParisTEL : 01.4562.1159
URL : http://www.musee-jacquemart-andre.com
毎日10h-18h 月曜 -20h30 16€/13€/9.5€