「植物 – 美の学校 / Végétal – Ecole de Beauté 」
ボザール(国立高等美術学校)で「植物 – 美の学校 / Végétal – Ecole de Beauté 」展が好評開催中だ。高級宝飾ブランド「ショーメ Chaumet」主催するもので、植物学者のマルク・ジャンソンをコミッショナーとし「植物」をモチーフにした宝飾、装飾芸術、モードなどの品400点を集めている。
主催するショーメ社は、創業1780年という老舗の高級宝飾ブランド*。アーカイヴの中から歴代デザイナーが植物を観察して創ってきた宝飾品を出品している(冒頭のパンジーのティアラやアジサイのブローチ他)。ショーメと同じくLVMH傘下にあるティファニーのものもあるが、ロレーヌ地方の植物や花々にインスピレーションを得てエミール・ガレらが開いたナンシー派のジュエリーを見ると(好みの問題もあるが)やはり秀逸だと思う。来訪者はこれらの宝飾品がガラスのケースに入っていてもつい触りたくなってしまうのか、ウィンドーに手の跡がたくさんついていた。
展示品がジュエリーだけではないのがこの展覧会のミソでもある。異なる時代の植物標本や、新石器時代にアルジェリアの洞窟に描かれた植物の絵、晩年蓮池を描き続けたクロード・モネ、家政婦として仕事をしながら独学で花を描き続けていたのを家の主人に才能を見出された「サンリスのセラフィーヌ」(映画化されヨランド・モローがセラフィーヌ役を演じた)、ポートレートのように植物を白黒で撮り続けたカール・ブロスフェルト、麦を刺繍したサンローラン、今人気のエヴァ・ジョスパンがダンボール紙で作る森など、様々な分野からの植物への視線がある。
また、花だけではなく普段特に気に留めない海藻も、水中植物も、芸術家にかかれば立派なモチーフとなるのがわかる。随所でロランス・エキルベが指揮するインシュラ・オーケストラの演奏が空間を彩る。9月4日まで(六)
*ショーメ Chaumet :
王妃マリー=アントワネットの宝石・銀細工職人アンジュ=ジョゼフ・オベール(1736-85)のもとで研修し、その後彼の協力者となったマリ=エチエンヌ・ニト(1750-1809)が1780年に創始。ナポレオンの宝剣やローマ教皇冠などを献上後、ジョゼフィーヌ皇后御用達となった。その後1885年、ジョゼフ・ショーメがディレクターに就任して「ショーメ」となった240年の歴史を持つ老舗。同展は創始者ニトの手によるデッサンや宝飾品から、ジャン=バティストとジュール・フォッサン父子、ヴァランタンとプロスペル・モレルらによる宝飾品が見られる機会でもある。
L’École de la beauté aux Beaux-Arts de Paris
Adresse : 13 quai Malaquais(Bonaparte 通りからは入れません), 75006 Paris , Franceアクセス : Saint-Germain-des-Pré
URL : www.chaumet.com
入場料2€/5€/10€から自分で選んでネットで時間帯を選びチケットを買う(会場では買えません。予約手数料0,99 €)。収益金はボザールの活動費に充てられます。