エネルギーを自給し、給食は100%オーガニック。
ジャーナリスト、マリー=モニク・ロバンのドキュメンタリー映画『Qu’est-ce qu’on attend ?(何を待つのか)』(2016)で紹介されたアルザスのウンゲルシャイム(オ・ラン県)は、ミュールーズから15キロ北にある人口2400人の小さな村だが、エコロジーの最先端を行く町として知られている。映画に出演していたジャン=クロード・メンシュ村長は、1989年に初めて選出されてから、今も村長として健在だ。
村では英国の町トットネスで始まった 「トランジション・タウン」を実現する試みを2000年頃から始めた。プールの屋上などにソーラーパネルを設置してエネルギーを自給し、学校や文化施設の暖房には木質バイオマスボイラーを使う。村の農地で生産した作物を使った給食は100%オーガニックだ。
6月には、村民が運営する食料品店がオープン。村でできた有機農産物やソースなどの加工品、乳製品などを扱い、量り売りコーナーもある。村のクラフトビール工場に併設の売店でも地産品を販売している。2013年には村だけで使える地域通貨 「ラディ(ラディッシュの意味)」を発行し、地元の産物を地元民が地元の貨幣で払って消費するという循環経済を確立した。
村はもともとカリ岩塩鉱の地で、村長は元鉱夫。それが70年代に閉山後、世界でも有数のトランジション・タウンになった。(羽)