アルベール・カーン博物館で世界を旅する。
パリ西南の隣町ブローニュ・ビヤンクール市。アルベール・カーン博物館が、6年間の工事を経てついに再オープンした。銀行家カーンが50年近く住んだ邸宅の敷地で、彼自身も構想を練りながら庭師たちと造った庭が有名だ。イギリスの庭、フランスの庭、マグレブの針葉樹林…などと隣接して日本庭園もあり、1930年代からブローニュきっての名所となっている。そこに隈研吾氏が設計した新しいミュージアムが建てられた。
この博物館はまた、20世紀初頭、カーンが世界の国々にカメラマンを派遣し撮影させた、「地球映像資料館」と呼ばれる写真と映像の膨大なコレクションでも名高い。新しい展示室は、7万枚以上あるそれらガラス乾板写真が容易に、かつふんだんに見られるよう工夫が凝らされた。裏面から光を当てて映し出されるガラス乾板写真は、思いのほか色鮮やかで美しい。一世紀前の世界の人々、景色、服装、日本の町…カーンとともに世界を旅することができる場所だ。
庭造りも「地球映像資料館」も、カーンが一代で成した財産を投じて実現した。単なる金持ちの道楽、ではないらしい。彼は人々が他者に目を向け理解しあってこそ世界の平和を築けると信じた。アルベール・カーンとはどんな人だったのだろう。ブローニュへ行ってみた。(六)
Musée Albert-Kahn
Adresse : 2 rue du Port , Boulogne-Billancourt , Franceアクセス : M°Boulogne Pont de Saint-Cloud (10号線)
URL : https://albert-kahn.hauts-de-seine.fr/
4月〜9月:11h-19h、(10月〜3月:11h-18h)、 Nuit des Musées の日( 5/14)は-22h。月休。 入場料:8€/5€。