フランス南西部の町、ブリーヴ・ラ・ガイヤルドでは、毎年11月に書籍市が開かれる。フランスでも屈指の書籍市で、今年も、ゴンクール賞を受賞したばかりのモハメド・ムブガル・サールほか、著名な作家たちが特別に運行される列車に乗り込んでパリを出た。発車すると車内では、リキュールに始まり、鴨やフォアグラ、子牛料理、カベクーやロカマドゥール・チーズ、くるみを使ったデザートなど、ブリーヴのおいしいものが次々と供されるという伝説があり、今では「コレステロール列車」との異名をとっている。
また、ブリーヴはコレーズ県にあるが、コレーズといえば、シラク、オランドと、大統領をふたり輩出した「大統領の地」とも呼ばれる。ふたりのグルメぶりも、この町の食いしん坊なイメージを決定づけただろう。
冬限定の、伝統的な鴨やフォアグラ市、トリュフ市が立ち、他のマルシェも評判だというので、今回はオーステルリッツ駅から(普通の)列車に乗ってブリーヴへ。念願のマルシェで初めて、生のトリュフを買ってみたのだが、その小さな黒い塊から放たれる香りたるや、泊まったホテルの部屋も、帰りの電車も家のキッチンも、トリュフの香りでいっぱいにするほどの威力だった。(集)
食いしんぼうの町、Brive-la-Gaillardeへ、
おいしいものを探しに。
冬のブリーヴに行くなら、金曜に到着するのがおすすめです。名高い土曜の朝市に加え、11月〜2月の土曜日は “Foires Grasses”があるからです。”gras” すなわち、ガチョウ、鴨、去勢した雄鶏、フォアグラなどの市で、ブリーヴ近隣の生産者から直接買えるため、クリスマスや新年のごちそうを作るための買い出し客で賑わいます。13世紀あたりから行われてきた伝統的な市で、冷蔵庫などがなかった時代はコンフィやパテなど保存食を買いこむ場だったそう。
毎年8万羽の鴨・ガチョウが売られるこの市には品評会もあり、受賞した肉がトリコロールの勲章をつけて並べられています。会場のジョルジュ・ブラッサンス・ホール前の広場にも普段の食卓にのぼるみずみずしい生鮮食品やチーズが並んでおいしそう!「Hécatombe」でブラッサンスが歌ったブリーヴのマルシェ。それにちなんで彼の名を冠したホールはブリーヴの胃袋です。
Marché aux truffes contrôlé
鑑定を通ったトリュフのみが市に出る。
このホール入口前の小屋にはトリュフの鑑定チームが待機しています。生産者の持ち込むトリュフが高品質のメラノスポルム種であるかを確認し、表面を少しだけ切って色や成熟度、硬さ、脈の状態などを審査。まだシーズンが始まったばかりで色は薄めですが、色が薄過ぎてはダメ。指で軽く押して柔らかすぎても硬すぎてもダメ。キロあたり700〜1000€で売られる「黒いダイヤモンド」はチェックも慎重。2、3人で鑑定します。鑑定を通過した良質のトリュフのみがホール内で販売されます。
この種のトリュフは11月中旬から2月中旬まで収穫されますが、「1月半ばあたりが一番おいしいよ」と表紙のトリュフ生産者ジョルジュさん。ホールに入ると、トリュフ生産者がずらり並んで、商品の香りをかがせたりしながらお客と値段交渉しています。
La Halle Gaillarde
ブリーブの新しいマルシェで、地元の人と相席して旅を満喫!
2019年にオープンした町の新しい顔 「ラ・アール・ガイヤルド」。前出のブラッサンス・ホールのマルシェから歩いて5分ほどのところにあります。この屋内マルシェなら、月曜以外は毎日、食料品の買い物ができます。そして、マルシェで見つけたあれやこれやを、地元の人たちに混じって中央の長いテーブルについて食べられる。
クロワッサンとコーヒーの遅めの朝食をとる人もいれば、お隣に座った中年美女ふたり組は、昼前からブルゴーニュのボトルで乾杯です。
この町のラグビーチーム CA Brive-Corrèzeは今期トップ12の成績でこの町の誇りですが、一角にはラグビー観戦ができるバーもある。オヴニーが取材をした日はちょうどカステックス首相もブリーヴを訪問。このマルシェを訪れて人々に挨拶し、シャルキュトリーに舌鼓を打ったようです。
INFORMATIONS
●パリからの行き方:
パリ・オーステルリッツ駅からIntercitéで直行4時間半。国鉄の駅から中心街までは徒歩で10分〜15分。
◎Brive-la-Gaillarde 観光局 :
ブラッサンスホール前広場にある小さい灯台(実は旧貯水塔)が目印。ヒゲを町のトレードマークにポップなデザインのオリジナルグッズを展開していて、観光局内ショッピングが楽しい!毎年新しいコレクションが加わる。
月-土:9h-12h30/14h-18h。
Pl. Du 14 Juillet 19100 Brive-la-Gaillarde
www.brive-tourisme.com
Tél : 05 55 24 08 80
※観光局から15mほどの所にある劇場は、夜になるとそのファサードを使ってのビデオ・マッピング。12/31まで (17日は除く) 。18h-21h、10分ごとに上映。無料。
劇場前の広場にはスケート場が作られ、子どものバカンス期間中は毎日、夜でも滑れる。
◎Hôtel Le Collonges :
ふたつのマルシェまで徒歩数分と便利。内装も色や、壁紙などセンスがよいホテル。ラガーマンOB経営者と、スタッフが親切で好感度高!82€〜。
3-5 Pl. Winston Churchill 19100 Brive-la-Gaillarde
contact@hotel-collonges.com Tél : 05 55 74 09 58
◎Marché de Noël クリスマス・マーケット :
旧市街の中心、collégiale (教会)の周辺にクリスマスマーケット。12/31まで。毎日10h-20h、 月は14h-20h。
◎La Halle Gaillarde :
火水木 : 7h30-14h、金土7h30-19h、日9h-14h、月休。
Pl. Maréchal de Lattre de Tassigny 19100 Brive-la-Gaillarde
◎La Halle George Brassens :
12 quai Tourny 19100 Brive-la-Gaillarde
マルシェは土 : 7h-13h.