日刊紙リベラシオンに40年間、社会や政治を風刺する漫画を描きつづけてきたヴィレムが3月31日、80歳を機に引退した。
ヴィレムはオランダ生まれ。1968年にフランスに居を定め、1970年からシャルリー・エブドに連載漫画を掲載するように。エルジェにも共通する明るい線で反権力、反宗教の姿勢をうかがわせながら、自由をうたい上げる作風が若者の心をつかんだ。
1981年からは左翼系リベラシオン紙で、自分の権力や欲望だけに明け暮れしている政治家や経済界の大物の表情を、一コマであざやかにとらえ、鋭く風刺してきた。2013年にはアングレーム国際漫画祭でグランプリを受賞。2018年に出版された『Macron, L’Amour fou』でやり玉に挙げられたのはマクロン大統領。大統領の自分自身に陶酔している姿を、容赦なく茶化しているが、どこまでもカラッと明るく、桟敷席のぼくらは、胸がすっきり、笑いがとまらない。
今回の引退でも、マスコミに登場することなく、ひとりの漫画家として、すっと身を引いていくあたり、どこまでも優雅です。メルシ、ヴィレム!(真)