『Yéké Yéké』の国際的ヒットでアフリカンポップスの大スターになったモーリ・カンテが、ギニアのコナクリで亡くなった。
1970年代半ば、マリはバマコのレイルバンドでサリフ・ケイタの後釜として歌ってデビュー。78年にコートジボワールのアビジャンに移住し、1981年パリで録音の初リーダーアルバム『N’Diarabi』が、ぼくには今でもベストアルバムだ。弦楽器コラを弾きながらのカンテの歌は、「サバンナを吹き抜ける明るく乾いた風」。コラの名演が前面に出て、ギターやドラムスと絡んでいくときにもゆとりがあり、マリ風の優雅な振りで踊ることができる。この名盤、手に入れるのがむずかしいが、YouTubeで聴くことができる。
84年にパリに移ってから出した『A Paris』も傑作。1曲目は“Yéké Yéké”のオリジナル。アップテンポだが、楽々と呼吸できる広がりがあり、コラの音色も生き生き…。“Ca va la bas”では女性コーラスとの掛け合いが楽しいし、“Soumba”はもう演歌の世界、涙がにじむ。
「グリオ・エレクトリック」というあだ名に飽きたのか、晩年は故郷ギニアに戻り、真のグリオとして敬われながら、幸せに音楽をやっていた、と思いたい。(真)