フィリップ首相は、4月28日に国会で行った自宅待機解除方針の演説で保育所から高校までの段階的再開について明らかにした。
政府に助言する専門家委員会は「保育所・学校の再開は9月からが望ましい」との意見を20日に出したにもかかわらず、首相はIT環境や親の都合で自宅学習が難しい児童・生徒もおり、社会的公平さを保つ上でも学校再開は「不可欠」との考えを示した。
首相の発表した主な方針は以下の通り:
◆幼稚園、小学校は全国で5月11日から希望者を対象に再開。15人までの少人数クラスとする。教師・職員はマスクを着けるが、小学生には推奨しない・幼稚園児は禁止(ただし、咳などの症状が出た子には子ども用マスクを支給できるよう園内・校内に準備)。
◆保育所は5月11日から再開。1グループ10人までで、ソーシャルディスタンス(人と人の1mの距離)のためのスペースが許せば複数グループ受け入れも可能。保育士・職員はマスク着用。医療従事者、教師、単親家庭などの子どもを優先的に受け入れる。
◆中学校は感染リスクの低い県のみで5月18日から、まず1~2年生(5ème、6ème) のみ再開。教師、職員、生徒ともマスク着用義務。マスクのない中学生には支給される。
◆中学3~4年生(4e、3e)と高校生については、5月末に再開か否かを決める。
◆スペースが許せば、校内でのスポーツや文化活動も再開可能。
◆以上の再開はソーシャルディスタンス、手指消毒液、保育士・教師へのマスク支給が行われるという条件付きで行われる。各学校、保護者、地方自治体の対応に「最大限の柔軟性」を持たせる。遠隔授業は続行。
この発表を受けて、教員労組や保護者団体は、感染防止措置について政府はより明確で詳細な措置を示すべきと反発し、そうでない場合は労組が(命にかかわる危険がある場合に職務を放棄できる)「退く権利」を行使すると警告。早速ブランケール教育相は演説の翌29日、再開方法の詳細は5月4~7日に保護者に連絡されるとフォローしたが、わずか数日で各学校の準備ができるかどうかは疑問だ。
さらに、給食の問題も明らかされていないとの指摘もある。全児童が昼食時に押し寄せれば混雑が必至の食堂でソーシャルディスタンスは守れるのか? 専門家委員会は食堂でなく教室で昼食を取ることを推奨し、教育相はサンドイッチにする案に言及した。