マクロン大統領は4月13日夜のスピーチのなかで、保育所、小中高校を5月11日から「段階的に再開する」と発表した。児童・生徒や教師を保護する対策を取った上でという条件付きだが、教員組合や保護者団体らは不安を露わにしている。
今後1ヵ月間でマスクや手指消毒液が全校に行き渡るのか、教室や校庭で1mの距離をとることは可能なのか、新型コロナウイルス感染の媒介者になりやすい子どもたちを登校させることで感染の第2波が起きるのではないか、教師が感染の危険性にさらされるのでは、といった懸念が教員組合や保護者団体から噴出した。
マクロン大統領の演説の翌朝、国営テレビのフランス2局のインタヴューを受けたブランケール教育相は、今後2週間で教員組合や保護者と協議して具体的な再開方法を決めていくとした上で、いくつかの方針を明らかにした。
◆すべての学校が同時に再開されるわけではない。
教育相は「学校が(コロナ危機)以前と同じ状態で再開できるとは、だれも考えていない」とし、年齢、地域などによって再開時期をずらす可能性も含めて今後検討すると答えた。優先課題は、IT環境や親の支援が得られない、あるいは学業に困難をともなう児童・生徒に不利になるのを是正すること、そうした児童・生徒が教師の指導を受けられるようにすることだとした。
◆感染防止対策を啓蒙する
児童・生徒に予防エチケット(手洗い、人との距離、くしゃみを肘の内側にするなど)や公共心を教える。それが難しい低年齢の園児などは少人数のクラスにする。授業時間を短縮したり、遠隔授業を併用したりして、クラスが大人数にならないようにする。校内は再開前に消毒される。
◆子どもを学校へ行かせたくない場合は?
「5月11日から一斉に学校に行くのが義務になるわけではない」とし、この件は他国の実績などを見ながら今後決めていく方針。
児童・生徒や教師のマスク着用の是非、少人数クラスの導入による教師の負担増については、教育相はあいまいな態度のままだった。2週間後にはそのあたりがより明確になるといいのだが……。
*なお、バカロレア試験等を実施しないことは今月初めの発表の通り。