リモージュ磁器と、その歴史をたずねて。
【特集:磁器の都、リモージュへ】は、5回にわたって掲載します。
〈その1〉250年の磁器の伝統を誇るリモージュ。
〈その2〉リモージュ磁器と、その歴史をたずねて。
国立アドリアン・デュブシェ(磁器)美術館へ。
〈その3〉リモージュ磁器を代表する有名ブランド、ベルナルドーの財団。
〈その4〉19世紀の円形窯「カソー窯」。
〈その5〉若いクリエーターの工房へ。
楽しい!リモージュ焼きものショッピング情報。
19世紀の円形窯、「カソー窯」
Four des Casseaux
このレンガ製の円形窯は1797年創業のアリュオー社 (現ロワイヤル・リモージュ)が1884年に造ったもので、当時あった9つの窯のなかで唯一残っているものだ(直径7.74m、高さ12m)。
上部分は900℃の素焼き、下部分は1400℃の本焼き用だ。このアリュオーの工場は最盛期の1930年代には1200人が働いていたという。今でも一部はロワイヤル・リモージュ社のアトリエだ。
この窯は歴史的建造物に指定されており、リモージュの産業遺産保護協会「Espace Porcelaine」が1992年からミュゼとして運営。磁器窯は最初は薪が燃料に使われ、すぐそばを流れるヴィエンヌ川で木材が運ばれていたが、1850年頃からは石炭に代わった。
1400℃という高温で焼くので、薪・石炭窯時代は磁器を守る耐火粘土製の匣鉢 (こうばち / gazette、写真下に)に入れて焼かれていた。その匣鉢が今も窯の横に積み上げられている。20世紀半ばには円形窯は長いトンネル状の窯に変わった。
ここで開催中の展覧会「Femmes du feu (火の女たち)」は、カオリン採掘場や磁器製造所で働く女性、リモージュ国立装飾美術学校の女生徒やアーティストら磁器関係の女性たちの写真や、アール・デコ時代のシュザンヌ・ラリックや現代の女性陶芸家の作品も展示。
磁器産業が始まる前リモージュは農業が中心だったため、カオリン鉱が開かれると女性はいち早く磁器生産のさまざまな工程で働くようになった。また、アドリアン・デュブシェの主導のもと、フランスでいち早く女生徒を受け入れる装飾美術学校が造られブルジョワ家庭の女子を受け入れたり、工場長らによるセクハラに対する抗議運動も1900年代に起こっていたのだという。
●展覧会「Femmes du feu (火の女たち)」
2023年12月30年まで
●ショッピングもたのしい!
ミュージアム受付と同じ建物内には、Royal Limoges (ロワイヤル・リモージュ)社の工場直営ショップが!買い物の時間と予算も考えて行きましょう。
Magasin d’usine de Royal Limoges
54 rue Victor Duruy
87000 Limoges
Tél: 05 55 33 27 30
Email : magasin.usine@royal-limoges.fr
Musée du four des Casseaux
Adresse : 1 rue Victor Duruy , Limoges , FranceTEL : 05.5533.2874
URL : https://museedescasseaux.com/
月-土 : 10h-12h30/14h-17h30, 日・祭日休み。展覧会は12/31まで。 4.5€/2.5€(12歳未満無料) ガイド付見学(要予約/1h)8€。