Mousse à la crème de marron
スーパーのプリンやチョコレートムースのコーナーに「MaronSui’s」というマロン(クリ)クリームが主な材料のデザートが並んでいる。ふんわりとしたムースにマロンの味わいが封じこめらていて、甘党でないぼくもついつい買ってしまう。今回はその「マロンシュイス」に挑戦です。
まずホイップクリームcrème chantillyを作るときのために、生クリームを大きめのボウルにとってラップし、冷蔵庫の下段に、1時間ほど入れて冷やしておく。
マロンクリームは、マロンの名産地アルデッシュ地方に工場がある老舗Clément Faugier社のものがいい。マロンの風味が濃いし、ヴァニラの香りもよくきいている。これを大きいボウルにとる。
ゼラチンは、水に5分ほどひたしたら、手で水気をよくしぼり、大まかにちぎって小鍋にとる。牛乳を80ccほど加え弱火にかけると、沸騰する前にすっかりとけてしまうだろう。これをマロンクリームに加えて混ぜ合わせる。
生クリームを冷蔵庫から出す。泡立て器を勢いよく動かして泡立てていくと、生クリームが盛り上がってくる。全体のかさが2倍ほどになり、クリームが泡立て器にくっついて落ちないようになったら、ホイップクリームのでき上がり、スプーンを使ってマロンクリームに混ぜこむ。
次は、卵白に砂糖ふたつまみを加えて泡立てていく。やはり泡立て器にくっついて落ちないようになったら、マロンクリームに混ぜ入れるのだが、せっかくの泡がつぶれてしまわないように静かに大きく混ぜ合わせることが大切だ。これで全体の量が6人分、約1リットルになっているだろう。オンザロック用のグラスにでも分け入れ、ラップし、冷蔵庫に3時間ほど入れておく。
「MaronSui’s」よりもしっかりとした舌ざわりでマロンのおいしさが詰まっている。実験台になってもらったオヴニーのスタッフも「セ・トレ・ボーン!」と言ってくれたので、安心しておすすめで~す。(真)
6人分:マロンクリーム500g、板ゼラチン1枚半(約3g)、乳脂肪分30%の液状生クリーム200cc、卵白3個、牛乳80cc、砂糖
Châtaigne(marron)
クリはmarronと呼ぶのが一般的になっているけれど、本来なら、marronはパリの街角や公園を縁どるマロニエmarronnierの実のこと。クリはchâtaignierの実のことなので、châtaigneと呼ぶのが正式。クリの名産地はアルデッシュ地方とコルシカ島。どちらも耕作が無理な急勾配の土地が多いこともあって、古くからクリの木が植えられてきた。クリ粉(グルテンフリー)は、ブルターニュ地方のソバ粉同様に、小麦粉の代用品として使われていた。コルシカではクリの木を「パンの木」というくらいで、その料理にはクリ粉が欠かせない。クリ粉を水と塩少々で煮て作るpulendaは、ポレンタの一種だろうが、クリ粉ならではのかすかな甘みがあって、肉料理、コッパやソーシソン、チーズなどによく合う。
Crème de marron
マロンクリームは、ヨーグルトに加えたり、クレープに入れたり、ジャムがわりにパンに塗ったりして味わうことが多い。いろいろな銘柄のものがあるけれど、やはりClément Faugierのものに軍配が上がる。アルデッシュ地方のプリヴァ町の町長だったクレマン・フォジエが、1882年に同町でマロン・グラッセの工場をオープンし、2年後に、マロン・グラッセのくずを使ってマロンクリームを作りはじめた。今でもその製造方法は変わっていないという。
MaronSui’s etc.
スーパーの乳製品売り場にはMaronSui’sなど、ちょっとしたデザートやおやつになる製品がいろいろと並んでいる。ヴァニラ風味やフルーツ入りのヨーグルト、子どもたちに人気の、砂糖を振りかけて食べるPetit-suisse、ムース・オ・ショコラmousse au chocolat、チョコレートクリームcrème au chocolat、カスタードプリンcrème caramel、イル・フロタントîle flottante、ライスプディングriz au lait…。何種類か買って冷蔵庫に入れておくと重宝する。