幼稚園・小学校でのCovid-19への対応を定めた国の指針が、9月22日から緩和された。これまでは児童1人の感染が確認されれば学級閉鎖としたが、今後は授業を続ける。背景には、現場の混乱や閉鎖の悪影響が目立っていることがある。
新たな指針では幼稚園(3〜5歳)と小学校(6〜10歳)で感染した児童は7日間自宅待機となるが、同じクラスの他の児童は接触者とみなさず授業を続ける。クラス内で3人以上感染した場合のみ、学級閉鎖や閉校、同じクラスの児童が接触者とみなされ保健当局の観察対象となる可能性がある。中高生はマスク着用が義務なため、これまでもクラス全員が接触者とは必ずしもみなされてはいなかった。
政府は3月の時点では、子供がウイルスを媒介することが多いと説明していたが、国の公衆衛生上級諮問委員会が9月17日、子供同士や子供が大人に感染させる例は少なく、家庭など校外での感染例が多いと発表し、教育省はこれを受けて変更。 9月17日時点で、全国の小学校から高校までの61500校のうち89校がCovid-19により閉鎖されていたが、緩和後25日は19校になり、感染が確認された児童・生徒は5612人、職員は1153人となっている。
緩和に踏み切った背景には、現場の混乱がある。教員や保護者がCovid-19か風邪かの判断に苦しみ、学校長や地方保健局への問い合わせが殺到。症状を示す児童が出たとたんに、全児童が帰宅させられたり、学級閉鎖・閉校が起こり、多くの保護者の経済活動に影響がでている。
また、学習面でも閉鎖の悪影響が明らかになっている。閉鎖中、保護者が子供の学習をみたかどうかで、学力の差が広がったり、低年齢層では、学校で授業を受ける習慣も失われ、集中力や集団生活への適応力の低下がみられている。
国際機関も教育施設の閉鎖に警鐘を鳴らしている。ユニセフは世界で約9億人の子供の学校が閉鎖しており、子供への身体的・心理的暴力が増加しているとしている。閉鎖をきっかけに学校に戻らない子供は約2400万人と推定。生涯に影響が及ぶ可能性があるとし、各国に学校教育維持を呼び掛けている。
またフランスではCovid-19流行前から2割の子供が貧困状態にあり、状況悪化を懸念している。一方、教職員の労働組合は、感染者数が急増する中、学校規制を緩和するのは矛盾していると非難している(重)。