Gaspacho au rouget barbet
この夏、ブルターニュにある、イワシ、マグロ、ラングスティーヌなどの漁で知られるコンカルノーを訪れた。せり市場近くのレストランに入り、暑い日だったのでガスパチョを頼んだら、ヒメジrouget barbetの、多分クール・ブイヨンで煮たおろし身が1枚入っている! それが、ガスパチョの味わいとよく合うのでビックリ、そして漁港の町ならではのアイデアに感心した。
トマトは湯むきしてから、種の部分をのぞいてざくざくっと切る。キュウリ、玉ネギも同様に切る。赤ピーマンも同様でいいのだが、独特の甘みをひき出したいなら、オーブンの上火でこんがり焦がしてから皮をむいて切り分ける。ニンニクは押しつぶしてからみじん切り。以上を大きなボウルにとり、オリーブ油と混ぜ合わせ、2時間から半日ほど置いて、野菜とオリーブ油の風味がなじむようにしたい。
バゲットの身のところだけを手でちぎって別のボウルに入れ、ワインビネガーと水を加えて混ぜ合わせておく。
最後に、以上の素材をミキサーを使ってきめ細かなピューレにするのだが、ミキサーが小さかったり、力が弱かったりするときは、この作業、数回に分けてやることになる。ピューレ状になったらボウルに空け、塩、コショウで味を調える。ボウル全体をラップで覆って冷蔵庫に入れて数時間冷やせば、ガスパチョはでき上がる。あまりにドロリとしているようなら食べる直前に冷水を適量加えて混ぜ合わせればいい。
ヒメジは、小さめを2尾、うろこをとって三枚におろす。少々時間がかかるけれど、骨抜きで慎重に小骨をとりのぞく。あらかじめ用意して冷ましておいたクール・ブイヨン(右のコラム参照)におろし身を入れ、中火にかけ沸騰したら即座に火を止め、そのままおろし身を冷ます。
スープ皿にガスパチョをとり分け、ヒメジのおろし身1枚をそっとのせ、きざんだバジリコの葉を散らす。タバスコソース、市販のセロリ風味の塩、それにニンニク風味のクルトンを添えたい。(真)
4人分:小さめのヒメジ2尾、トマト4、5個、フランスならの大きなキュウリ1本、大型赤ピーマン1個、玉ネギ1個、ニンニク4片、バゲットパン半本、オリーブ油100cc、水300〜400cc、ワインビネガー50cc、バジリコ適量、塩、コショウ
Gaspacho
スペインやポルトガルなどで、夏の暑い日に欠かせない冷たい野菜のスープがガスパチョ。最近はフランスでもファンが増えている。太陽を浴びて完熟したトマトが主役だが、あとはキュウリでも赤や緑のピーマンでも好きな野菜を好みの割合で加えたい。メロンを加えるのも悪くないが、水気が多いので水は控えめに。ガスパチョはオリーブ油の風味が決め手なので、極上の香り高いオリーブ油を使いたい。時間がないときを考えて市販のパックや瓶入りのガスパチョを冷蔵庫に入れておくと便利。味もなかなかだ。
Court-bouillon
ヒメジをおろして残った頭と中骨からおいしいブイヨンがとれる。蛇口の水で血や汚れを洗い流した頭と中骨を鍋にとり、水を半リットル、白ワインをグラス1杯注ぎ、中火にかける。15分ほど火を通したら、マッシャーなどで頭と中骨を押しつぶすようにしてから濾す。濾したブイヨンに、ブーケ・ガルニ、薄切りにした玉ネギとニンジン、ビネガー大さじ3杯加え、薄味のスープという加減に塩をし、多めにコショウする。これを中火にかけ、沸騰してきたら弱火にし、20分くらい火を通す。いったん冷まして、野菜やハーブのおいしさをひき出すことが大切だ。
Ecailleur à poisson
魚屋に「Grattez et videz s’il vous plaît! 」 と頼めば、ウロコをとってはらわたを抜いて、きれいに洗ってくれるけれど、時には自分でやらなければいけない場合もある。もちろんイラストのような専用のウロコとり器もあるけれど(10€~)、ペリエなどのペットボトルのキャップがあれば十分だ。尾から頭へ向かってキャップをすべらすと、キャップの縁がウロコにひっかかって面白いようにウロコがとれる。そのうえ、専用の道具より魚が傷みにくい。ウロコが飛び散るので、まな板の下に新聞紙を広げておくと、あと始末が楽。