Otto Freundlich ”La révélation de l’abstraction”
数年前パリ市近代美術館が、購入作品を披露する小さな展覧会を開いた。聞いたことのない名前のドイツ人画家の油彩を見て、強いインパクトを受けた。それがフロイントリッヒ(1878-1943)の「コンポジション1911」だった。このモンマルトル美術館での展覧会にも出ている。
フロイントリッヒはドイツで哲学や美術史を学び、イタリアで彫刻を、ベルリンで絵画を勉強した後、パリに出た。ピカソなど当時の前衛と交流するうち、作風は抽象的になっていった。会場では抽象の花が開花したような美しい作品が次々に出てくる。ロベール・ドローネーかと見紛う絵もあるが、才気走ったドローネーに比べ、落ち着きと深みがある。
他の前衛芸術家同様、ナチスから「退廃芸術」家の一人に数えられ、彼の彫刻は、ナチスが開いた退廃芸術展カタログの表紙に使われた。1938年、ナチス政権の真っ只中でフロイントリッヒは人種差別に反対し、モザイクで「有色の人々へのオマージュ」を作った。今、世界で起きていることを重ねて見ると新しい見方ができる。ユダヤ人の彼は、第二次大戦中に南仏で捕らえられ、強制収容所で亡くなった。
展覧会の会期中、サクレクール寺院で彼のステンドグラス*が見られる。展覧会場のすぐそばなので、こちらにも足を運んで欲しい。2021年1/31まで(羽)
*フロイントリッヒは、シャルトル大聖堂の修復のためにシャルトルに5カ月滞在。抽象への道を開く大切な経験だったと言われている。
Musée de Montmartre
Adresse : 12 rue Cortot, 75018 ParisURL : https://museedemontmartre.fr/
火休、月〜金11h -18h 、土・日11h-19h