パリの醸造所 ルネサンス。
自家醸造所では、20℃前後で発酵させる、昔ながらの製法で作られるエールタイプのビールが主人公。かつて、英国からインドへビールを輸送する際に、ホップの量を増やして変質を防いだ結果、その苦味の強さがスタイルとして確立したIPA(Indian Pale Ale)、焙煎麦芽を使うスタウトやポーターとも呼ばれるダーク・エール、ペール・エール、季節のビールなどが、それぞれの作り手により個性を与えられ、我々に飲まれるのを待っている!
地ビール流行先取りの地、モントルイユ。
2014年、モントルイユ市のビール工房Zymotikを紹介した。ビール作りが習え、試飲も購入もできる、ビール好きの交流の場だ。
同じ頃、そのモントルイユ市で別の工房Deck&Donohueが産声をあげた。オーナーはアメリカ人のマイクさんとアルザス出身のトマさん。ふたりの名字が工房名だが、醸造職人含め5人のチームだ。パリや郊外の小売店、ブラッスリーに自分たちで営業し、始業3年で約150カ所に卸し、来年は醸造のみの工房を開くという急成長ぶり。定番のビール5種と、「季節ビール」各種、「フレッシュホップ」2種。おすすめは定番の「ドラフト」2l。初回は瓶込みで25ユーロだが、次回から瓶を持参すればドラフトビールが12€で購入でき、パーティーやピクニックに大人気。
有機栽培の原材料を90%使用し、醸造規模を拡大しても自分たちで配達できる範囲で展開したいと語るマイクさん。味の良さが口コミで伝わり、地元のものを消費する重要性を意識する人々に、彼らのビール造りの想いが理解されている。グローバル経済に飲み込まれた昨今のビール業界では麦芽を使わないビールもあるという。そんなビールをつくる会社に自家製の旨いビールでもの申す。モントルイユには現在醸造所は3軒、うち一軒は今年オープンしたばかりだ。(麻)
■ Deck & Donohue
71 rue de la Fraternité, 93100 MONTREUIL
毎週土曜日11時-15時まで工房見学・試飲・購入が可能。
http://deck-donohue.com