Q:声をかけた理由は?
西川:その時僕はタバコを1本吸いたかったので「タバコ持ってる?」という話がきっかけで話をし始めた。彼の友達には面白い人が多くて、いろいろ話をしているうちにリーダー格が出てきた、それが翔くんだったと記憶しています。そのあと彼が山梨に来ました。
Q:お生まれは?
宮下:昭和62年です。
Q:ギリギリの昭和。
宮下:1987年生まれ、今年29歳です。
Q:若い!
西川:若いですよ、まだ赤ちゃんです。
Q:で、宮下さんの子供時代と料理の関係は?
宮下:全く関係なくて、将来何をしたいかも決めていなかったぐらいで。
Q:ちなみにご家業は?
宮下:印刷業です。
Q:浅草で?
宮下:はい。父も母も印刷業で、おばあちゃんの代も印刷業でした。ただ昔の印刷業というのはパソコンなどがなくて
Q:活版とか?
宮下:そうです。版下から。
Q:じゃあ昔ながらの、ということですね。
西川:翔くんのお父さんはカッコいいんですよ。
Q:チャキチャキの下町っ子?
宮下:いや、父親はまた偶然なことに山梨の出身だったんです。母親が浅草の出身です。
Q:でも山梨に行ったのはお父様とは関係なく、西川さんとの出会いがきっかけですよね?その時はすでに学生ではなく
宮下:いわゆるフリーターでした。適当にバイトをして
Q:どんなバイトを?
宮下:当時はピザハットのデリバリーのような仕事をしていました。それからイベントへの派遣や、力仕事のようなこともしました。適当に日当をもらって遊んで暮らしていました。
Q:いきなりお皿洗いをしてどうでしたか?
宮下:面白かったです。シェフもこれまた偶然浅草出身で「縁」のようなものをすごく感じました。
西川:とにかく素晴らしいシェフでした。すごく哲学的、芸術的な人で。
Q:やっぱり縁というのはあるんでしょうね。だって西川さんが六本木で宮下さんにあったのも縁だとすれば、その後の山梨で素晴らしい浅草出身のシェフに会ったのも縁だし、しかも宮下さんのお父様が山梨出身だ、というのも…
宮下:しかも僕ら全員が卯年。
西川:神様が僕らを引き寄せたのかもしれないです。
Q:それで山梨で2年間お皿洗いをした?
宮下:いや、1週間、2週間ぐらいで前菜やちょっとしたパティスリーを作る仕事が始まりました。
Q:それまでに包丁を握ったことがなくても?
宮下:なかったんですが、いきなりです。そしてシェフもいきなりフランス語を話し始める。渡されるレシピにしても全部フランス語、日本語が一切ないので辞書で引いて自分で調べていかなければなりませんでした。それで次の日にわからないままで店に行くと「何やってるの!全然勉強してないじゃない!」(笑)と言われる。
Q:試されていた?
西川:フランスにいらした経験があって本当に芸術的な方でした。だから翔くんにも「皿なんか洗ってなくていいから自分でやりなさい」「来月はオリジナルなタルトを発表して」というようなことを言う。
宮下:そう「自分で考えてこい」と平気で言う。
Q:面白い!
宮下:楽しかったですけれど「発表する」ということでいつも緊張していました。
Q:学校の試験みたい。
宮下: 楽しかったです。
西川:翔くんが初めて自分で作ったイチジクのタルトは美味しかったです。
Q:卯年3名の他に厨房には誰が?
西川:僕の友達でもう一人、卯年の人間がいました(笑)。
Q:するとうさぎ4匹ですか?
宮下:そうです。
Q:ちなみにレストランの規模は?
宮下:テラスを入れたら40席ぐらいですか。
Q:山梨のどこにあったんですか?
宮下:山中湖です。リゾートなので夏は忙しいんですが、冬場は雪が降るので
西川:閉める店が多いです。
Q:フレンチのお店ですよね?宮下さんは別に料理に興味があったわけではなく、たまたま六本木で出会った人がフレンチで働いていたからフレンチのレストランへ行った。
宮下:そうです、出会った料理がフレンチだったので。
Q:それがもしかして西川さんが山梨名物のほうとうのお店で働いていたら、今はほうとうの名人になっているかもしれない?
西川:いや、ほうとうということはないと思います(笑)。
Q:いや例えば、の話で。
西川:シェフの芸術的なところに僕らは面白味を感じたからこそ、あの店で働いたと思うんです。
Q:すると西川さんは宮下さんに初めてお会いになった時に「こいつは芸術的なことを面白がるんじゃないか」と感じられた、ということですか?
西川:もちろんそうです。
宮下:自分ではそんなこと全くわかりませんでした。
Q:それは、見た目とか宮下さんが発する何かに芸術を感じたということですよね?
西川:翔くんの盛り付けがとても綺麗だったんですよ、シェフ、先生も「いいねえ」とびっくりしていました。店にはピザの窯もあって、その窯で翔くんは賄いのために真っ白いピザを作ったよね。
Q:料理のセンスがあった?
西川:すごくありましたね。
