マグリットって、こんなに知的な画家だったのか、と彼に対する評価が一変するような展覧会だ。プラトン、ハイデッガー、フーコーなど哲学者の名前が説明のなかにキラ星のように出てきて、本展を企画したコミッショナーの知的レベルについていくのは大変だが、難しいことはわからなくても、マグリットの知らなかった一面を発見できるだけでも収穫だ。
ルネ・マグリット(1898-1967)は、ベルギー生まれ。ベルギーやフランスのシュルレアリストや哲学者と交流した。しかし、フランスのシュルレアリスムの「法王」、アンドレ・ブルトンからは疎まれた。言葉を絵などの造形イメージより上位に置くブルトンら詩人のシュルレアリストに応えるように、マグリットは造形イメージを言葉と同等のものとした。ヨーロッパで言葉を造形イメージより優位とするのは旧約聖書に由来しているという。その由来も説明されていて、腑に落ちる。プラトンの著作からインスピレーションを得た作品も多数ある。1月23日まで。(羽)
ポンピドゥ・センター11h-21h(月・木は23hまで)火休。