ロダン以降、現代までの西洋とアジアの陶芸を見せる展覧会を、パリとセーヴルの2ヵ所で同時開催している。パリ会場のメゾン・ルージュは思い切った見せ方で知られる展覧会場で、今回も刺激的だ。一見保守的な、夜会服を着た女性の上半身にキッチュな刺青があったり、壁を這い上がるゴキブリの群れが一角を占めていたりと、飽きさせない。中でも意表を突くのは、男性性と女性性が意図的にかく乱されたエリザ・サアルの性を扱った作品だ。
セーヴル会場の作品選択はパリ会場より穏やかだ。戦後京都にできた前衛陶芸集団「走泥社」の作品は、陶芸から実用性をなくしたオブジェだが、西洋の作家の作品に囲まれると、伝統に培われた仕事の緻密さで際立っている。印象に残ったのは、「アンフォルメルの昨日と今日」のコーナーにあるアスガー・ヨルンのブランマンジェか乳房のようなオブジェと、溶岩状の形が鏡のような面を囲み、噴火後の火口のような冷たい輝きを見せるローズマリー・トロッケルの作品だ。(羽)
6月5日まで 火休 La Maison Rouge : 10 bd de la Bastille 12e www.lamaisonrouge.org
6月12日まで 火休 Sèvres-Cité de la céramique : 2 pl de la Manufacture, Sèvres www.sevresciteceramique.fr