リピーター率、87%!
パリ北東19区の多目的文化スペース 「104(サンキャトル)」は、ドラノエ市長時代の文化遺産。2008年秋の開館以来、制作と発表、伝達の場として、芸術の力で地域住民をつないできた。ここで展示場や劇場、アーティスト用レジダンス、書店、カフェとともに並ぶのが、子育て支援の保育施設「la Maison des Petits(子どもたちの家)」。精神科医フランソワーズ・ドルトが提唱した、家庭と託児所の中間に位置する「緑の家」がモデルだ。幼児が家族の手から離れ、他者と出会いながら社会デビューするための“慣らし保育の場”であり、0~5歳までの子供とその親が予約なしで利用できる。心理カウンセラーが常勤し、新米のパパ・ママは子育ての悩みも相談できる。当館責任者ニコルさんは「移民が多い19区で、誰もが無料で匿名で利用できることは意義深い。リピーター率は87%。パパの存在も目立ってます」と胸を張る。
フランスには「緑の家」のコンセプトを継ぐ場所が多いが、当館はアートを積極的に取り入れたのが大きな特長。フィリップ・スタルクの弟子筋に当たるデザイナー、マタリ・クラッセが内装を手がけ、市営とは思えぬデザイン性の高さを誇る。スタッフには現役アーティストがおり、創作中の子どもにアドバイスも与える。またサンキャトルで開催中の展覧会と連動した遊びも提案。写真展が開催中なら、写真を使ったコラージュ体験を用意するといった具合。さらに毎週水曜の午後は、レゴアトリエとミニ移動図書館が登場する。レゴと児童書が自由に使え、対象年齢も10歳位にまで広がる。さて本館は今年8月に改装工事に入る予定。秋にはまたクラッセの内装で生まれ変わる予定だ。(瑞)
La Maison des Petits/ 104 (CENTQUATRE)
火~日14h30-18h 月休
5 rue Curial/104 rue d’Aubervilliers 19e 01.5335.5121
レゴ体験 「 Petit chantier de construction en famille」は水15h-17h
ミニ移動図書館 「Lire」は水16h-17h30。