Agneau à la Guinness
アイルランド名物のビールといえばギネス。泡はち密でクリーミー、セピア色の液体はどこまでもまろやか! アイルランドで買ってきたレシピ本に、このギネスが入る子羊料理が載っていたので、友人たちも招いて、挑戦してみた。
子羊の肩肉は、肉屋に頼んでpaletteという肩甲骨をはずしてもらう。持ち帰ったらさらに余分の脂を切りとって、大きめの角切りにする。子羊肉は火を通すと小さくなるので、大きめというのが大切です。玉ネギとニンニクはみじん切り、ネギ、ニンジン、セロリは小口切りにする。
ココット鍋に油をとって中強火にかけ、まず肉を炒める。きれいな焼き色が付いたら取り出す。同じ鍋に野菜とニンニクを加える。中火に落として5分くらい炒めたら、肉を戻し、ローリエの葉、タイムを加える。ギネスを入れ、肉とヒタヒタになるくらいに水を注ぎ、鶏のブイヨンキューブを入れる。バルサミコ酢も足し、塩、コショウで味を調え、沸騰してきたら弱火にし、ふたをして肉が柔らかくなるまで2時間ちょっと火を通す。その間に、マッシュルームの足を取ってから水洗いし、大きめに切り分ける。小玉ネギの玉を切りはずしひげ根を切りとる。ベーコンは細かく切り分ける。
肉を取り出し、煮汁をこして野菜は捨てる。鍋をいったん洗ってから、バターを加えてマッシュルーム、小玉ネギ、ベーコンを7、8分炒める。小麦粉を振りかけ、へらで混ぜ合わせながら数分火を通したら、煮汁を戻し、丁寧に混ぜ合わせ、肉を入れる。ここで解凍してからさっとゆでておいたグリーンピースも加え、ぐつぐつっといったらでき上がり。
ギネスの味わいが生きている子羊肉の味わいに、試験台になってもらった友人たちからも「ブラボー」の声が上がった。付け合わせはバターをたっぷり加えたマッシュポテトが一番だ。飲み物はギネスか、まろやかな赤ワイン。(真)
【 4、5人分 】
子羊の肩肉一つ、玉ネギ2個、長ネギ1本、ニンジン2本、セロリの茎2本、ニンニク3片、マッシュルーム300g、小玉ネギの玉10個ほど、ベーコン100g、グリーンピース適量、ローリエの葉1枚、タイム適量、鶏のブイヨンキューブ1個、ギネス250cc、バルサミコ酢大さじ1杯、小麦粉大さじ1杯半、バター、油、塩、コショウ
Epaule d’agneau
788号でも子羊の肩肉をシードルで煮込んだが、一つがちょうど4人から6人分ということもあって、じつに便利な食材だ。真ん中に平たい肩甲骨が入っているので、まず肉屋に「アンルヴェ・ラ・パレット、シルヴプレ!」と頼んで、肩甲骨をとってもらうこと。肉屋は余分な脂もとり除いてくれるが、あっさり味にしたいのなら、さらに脂を除いた方がいいだろう。これを切り分ければ、煮込みに最適な肉です。丸ごとニンニクを刺し込み、塩、コショウし、もも肉のごとくローストにすると絶品だ。
Guinness
アイリッシュパブの一番人気の飲物といえば、やはり、セピア色のギネス。そのおいしさの秘けつは、グラスに7分目ほどに注いだら、ガスが飛ぶように数分置いておくことだ。これで、味はマイルドになり、泡が、ギネスならではのクリーミーなものになる。ギネスのあの、指で字が書けそうなほどクリーミーな泡は、注入するガスがラガータイプのように炭酸ガスではなく、窒素ガスだから。スーパーなどで売っている缶入りギネスには〈Floating widget〉という直径2センチくらいの窒素ガスを含んだ玉が入っている。
Touraine Gamay
ふだんはアンジェ近くで作られているガメー種のナチュラルワインを5リットル入りで買って飲んでいるが、それが切れるとスーパー、モノプリに走って、シュヴェルニーやシャンボールから遠くないDomaine de laCharmoiseで作られているこのガメーになる。ガメー種ならではの赤い果実風味がしつこくなく、軽い飲み心地の中に、落ち着いた味わいがあって、どんな料理にも合うので都合がいい。今回の子羊肉の煮込みにもよく合って評判がよかった。不思議なことに、蔵元出の値段は8€を超えているのに、モノプリでは7€以下。