波正太郎の『剣客商売』シリーズに登場する料理を、料理人、近藤文夫が再現した『包丁ごよみ』(新潮文庫)。冬のところにカモ飯がある。フランスでは、カモの胸肉 magret de canard が簡単に手に入るので、さっそく真似して作ってみた。
カモの胸肉は、皮と身の間に包丁を入れつつ引っぱるようにして、皮と身を切り離す。胸肉1枚分の皮を小さく切り分ける。これを鍋に取り、水をたっぷり加え、昆布一切れと塩少々を足して、皮が縮まり、脂が表面にたっぷり浮かぶようになるまで煮出してから、こす。そして、この煮汁で、いつものような水加減をして米を炊く。
「鴨の身を水3、醤油4、酒5の割合で煮込む」のとおりにしたら塩味がきつかったので、水と酒5、しょう油4の割合にし、砂糖少々を鍋にとって沸騰させた。カモの身を丸ごと入れ、再沸騰したらふたをし、弱火で10分ちょっと火を通す。身を取り出し、すっかり冷めたらできるだけ薄く切り、煮汁にひたす。炊き上がったご飯を丼によそい、カモの肉をきれいに並べ、コショウを挽きかけ、「芹(せり)」のかわりに、きざんだコリアンダーを散らした。煮汁を添える。うまい!(真)