マレ地区の同じ通りの2画廊で開かれている、同世代の優れたラテンアメリカ人作家2人の個展を紹介。
Caio Reisewitz – Plantes, pavillons et pétrole
ブラジル人写真家のカイオ・ライゼヴィッツ (1967-) の展覧会の題名は、「植物、館、石油」。風景の中にコラージュを重ねた作品の中には石油資本の環境破壊を暗示したものもある、ブラジルの深い森の湿った空気が感じられる風景や、梢に精霊が飛んでいるような公園の風景は神秘的で畏敬の念を起こさせる。空を背景に、エメラルド色の芝生と黒い木が強烈なコントラストを作る作品も美しい。同時に、マレにあるヨーロッパ写真美術館でも10月31日まで個展を開催中。
10月24日まで
Bendana Pinel Art Contemporain : 4 rue du Perche 3e
Isabel Espinoza – Mundos Paralelos
エクアドル生まれで、アルゼンチンとエクアドルで活動するイザベル・エスピノザ (1968-) も、自然を大切にしている。岐阜県美濃市に美濃和紙を学びに滞在したアーティストの一人で、バナナなどさまざまな植物繊維から自分で紙を漉く。紙をほぐしたり、ひっかいたり、穴をあけたりして、紙と対話しながら作品を作る。細かい点や線が集まり、目のようにも、花芯のようにも、胞子のようにも、種子のようにも見える丸い形からは、静かで有機的な動きが感じられる。自然と人間の調和を目指し、先祖の精神世界を大切にするというエスピノザの作風には、宇宙的であると同時に地球の根源に結びついたものがある。(羽)
11月14日まで
Galerie Lazarew : 14 rue du Perche 3e