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「相乗り」を市民の足に。
Microstop [ミクロストップ]
「大部分の自家用車の座席の4分の3は空いている。これは大きな無駄」と言うのは、パリ郊外のコロンブ市で会員制の相乗り市民団体「ミクロストップ」を始めたフレデリック・サルキスさん。コロンブの市会議員だったサルキスさんは、市の事業として立ち上げようとしたが、2014年の選挙で市長が変わり計画が頓挫したため、住民3人で協会を設立した。適用範囲はコロンブのあるオー・ド・セーヌ県のみ。120人が加入している。協会のサイトからスマホにダウンロードしたアプリで、自分が行きたい方向に向かう近場の会員の車を確認し、運転者に伝える。運転者が同意したら、待ち合わせの場所と時間を決める。適用が7月に始まったばかりなので、当面はテスト期間とし、会費は無料だ。運転者にはガソリン券などでお礼をしている。会員は運転者と相乗者の両方になってもいいし、どちらかでもかまわない。テスト期間が終わったら、1カ月2-3€程度の会費制に移行する。乗せた距離と相乗りした距離をそれぞれ点数にして、月末に集計する。乗せた距離はプラスになり、相乗りした距離は消費分になる。こうして、プラスになった場合は、ガソリン券などをもらう。相乗りだけの人は、点数に応じた金額を払うが、最初の相乗り100km分はプレゼントでもらえるので、その後の消費分を払っていくことになる。
車の数を今の半分にするのがサルキスさんの願いだ。
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建築素材と技術で、持続的発展!
Iceb(Institut pour la Conception Écoresponsable du Bâti) 建物の環境責任のための研究所
環境に負担をかけない建築素材や技術を使い、持続的発展を実現しようという建築家、都市計画家、エンジニアなど50人の建築のプロで作る団体。ワークショップ、会員たちが自由に話せる「イセッブ・カフェ」に加え、フランスの建築業界で持続的発展を阻んでいるものを取り除き、環境に良い建築を実現するための研究を行っている。テーマは冷房を使わず夏を気持ちよく過ごすための技術、自然空調、グレーエネルギー(建物に使われる製品や建材の製造、輸送、施工、解体廃棄に消費されるエネルギー)など。オルターナティブな技術はメディアでも知られていないので、2013年に始めた「Off du DD 持続的発展のオフ」というイベントで30ほどの建築計画を紹介している。
技術が発達したおかげで、過去の建材の欠点を補い、温室効果ガスの排出を少なくする建築が可能になった。たとえば、木は二酸化炭素を貯蔵するため、石油由来の製品を使うコンクリートより環境に良い。虫に強い木材や、化学薬品を使わず木を保護する方法を使い、今では10階建ての木材建築が可能だ。しかし、実際これらの技術を実地に活かそうとしても「今の法律では規格外になってしまう」と創立者の一人、アラン・ボルナレルさんは嘆く。その背後には、既得権を手放したくない製造元など、業界の複雑な事情が絡んでいるようだ。そのため、いつまでたっても環境負荷の少ない建物は増えていかない。そこで、COP21を視野に入れて、プロ用、一般用のキャンペーンを行う。