カンヌで映画祭作品を見る。
カンヌは基本的にプロ向けの映画祭。だが誰でも現地で映画を見られる裏技がある。まず並行部門の「監督週間」は誰でもチケットが購入できる太っ腹部門だ。例年話題作が多く登場し、今年は三池崇史監督の『極道大戦争』やフィリップ・ガレル監督『L’Ombre des femmes』などが上映予定。またクラシック作品がビーチで上映されるイベント「Le Cinéma de la Plage」も一般の映画ファンが楽しめる。こちらは観光局で入場券を無料配布する。
数年前からは招待作品が国内で同時公開されることも多くなった。配給会社は映画祭の報道を宣伝に利用でき、映画ファンはカンヌ作品をいち早く楽しめるという利点がある。今年は開幕作品のエマニュエル・ベルコ監督『La Tête haute』、非コンペ作品のジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、コンペ作品のステファヌ・ブリゼ監督『La Loi du Marché』などが期間中の公開作。カンヌの映画館でも上映されるだろう。
というわけで誰でも現地でカンヌ作品が見られるのだが、問題が宿。宿代が非常に高いのでシェアをしたり、隣町から通うなどの折衷案も検討したい。筆者が以前実践していたのは花のテント生活。カンヌからバスで30分の所にキャンプ場があり、テントを持ち込めば一泊10ユーロ前後と格安で泊まれる。ただし暴風雨でテントが飛ばされたり、夜間はバスが少ないなど苦労も絶えず万人にお勧めはできない。
ちなみに毎年パリでは映画祭直後にカンヌ作品の再上映がある。監督週間はフォーラム・デ・ジマージュ、批評家週間はシネマテーク、ある視点部門はルフレ・メディシスが会場。昨年からは正式招待作品12本を映画祭最終日からGaumont Opéraで上映するイベント「Cannes à Paris」もスタート。パリにいれば十分映画祭が楽しめる。あれ、カンヌに行く意味がないということか!?