コロンビア映画の入り口として最適。

Los Hongos / Oscar Ruiz Navia

コロンビア映画が健闘している。度重なる内戦で情勢不安が続き、70年代は国産映画の数が年に4本ほどだったが、昨今は20~30本にまで増加。好況に加え、国が映画製作の援助を法制化したことが大きい。やはり量は質も生むようで、新しい才能が世界の映画祭で紹介されるようになった。なかでも『Los Hongos』は、コロンビア映画の入り口として最適な青春映画だ。新鋭オスカル・ルイス・ナビア監督は、昨年東京国際映画祭に参加するため来日。上映会後に制作の経緯を語った。
  「祖母が亡くなり故郷に戻ったのですが、その機に人生と自分の町について語りたいと考えました」 。故郷とはコロンビア第三の都市カリ。登場するのは演技経験のない素人たち。みな土地の空気をまとった生身の存在感を放っているが、とりわけ町の壁という壁にグラフィティ・アートを残すカルヴィン&ラスの主人公コンビが魅力的だ。「700人に会い、1年半かけてキャスティングしました。カルヴィンは祖母と暮らし、グラフィティ・アートを描いてました。ラスはカリスマ性があり、スケートボードが好き。本作は彼らの実人生とリンクしています。彼らの名前も本名です」
 ふたりはインターネットで 「アラブの春」の映像を見て、反政府デモに参加するイスラム教徒の女性たちに惹きつけられる。そして自由を希求する人々への連帯を示すべく、ゲリラ的に壁画の大作に着手する。「本作では女性が大事な位置を占めます。現実でも女性は自由でリベラル、社会で重要な役割を担うようになりましたが、さらにそうなるべきでしょう」
 「Los Hongos」とはスペイン語で「キノコ」の複数形。腐蝕して育つキノコが、たくましい登場人物たちの姿を示唆。貧困や政治腐敗、ドラッグだけでは語り尽くせぬコロンビアが、鮮やかなペンキの原色とひとすじの希望とともに、瑞々しく活写されている。フランスでは5月27日公開。 (瑞)


オスカル・ルイス・ナビア
1982年生まれ。ルーベン・メンドーザ、ファン・アンドレス・アランゴと並び新しいコロンビア映画を牽引。長編処女作 『Crab Trap』でベルリン映画祭国際批評家連盟賞受賞。プロデューサーとしてウィリアム・ヴェガ監督 の『La Sirga』をカンヌの監督週間に出品。『Los Hongos』は長編2作目。

© 2014 TIFF

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