ウサギをチェリー風味のビール、クリックで煮込んでみよう。ブリュッセルの名物料理だ。
ウサギは肉屋に切り分けてもらう。これをクリックに半日漬け込む。バルサミコ酢、シナモン、八角、タイム、ローリエの葉も入れ、コショウもたっぷりひき入れる。食卓に出す二時間前になったら、ウサギ肉を取り出す。キッチンペーパーでよくぬぐってから塩、コショウし、ココット鍋にバターと油を半々に取り、中強火で焼き色が付くまで炒める。この作業、2回に分けてやるといい。肉をなるべく重ならないように並べ、クリックのマリナードをスパイスごと加え、ウサギ肉とひたひたになるまで水を張り、ブイヨンキューブを入れる。干しプルーン、皮をむいた丸ごとのニンジンも加え、沸騰したら弱火にし、ふたをして1時間ちょっと煮込んでいく。
ほとんど火が通ったウサギ肉、ニンジン、干しプルーンを取り出し、ちょっと面倒だけれど煮汁をこし、スパイス類は捨てる。ニンジンは輪切りにする。ココットをきれいに洗って乾かしルーを作る。バターと小麦粉を加え、木のヘラで絶えずかき混ぜていく。少し色が付いてきたら、煮汁を少しずつ加えていけば、おいしそうにとろみがつくだろう。ここでしばらく煮詰め、塩とコショウで味を調える。ウサギと干しプルーン、ニンジンを戻し、別にさっと炒めておいた小さな新玉ネギも加え、ふたをして140度のオーブンに30分ほど入れておく。この間にジャガイモの皮をむいて丸ごと塩ゆでにする。これが付け合わせになる。
一人一人の好みの部分を聞いてから、それを皿に盛り付け、ソースをたっぷりかけてあげる。軽い甘味と酸味がきいたソースと、淡白な風味のウサギ肉との組み合わせは抜群だ。
飲みものは、クリックではちょっと甘すぎるので、コット・デュ・ローヌの赤はどうだろう。(真)
【 4〜6人分 】1.5キロくらいのウサギ、干しプルーン12個、ニンジン1本、新玉ネギ1束 (緑のところは使わない)、ブイヨンキューブ1個、バター、油、塩、コショウ
マリナード : クリック750cc、バルサミコ酢大さじ2杯、シナモン2本、八角1個、タイム3枝、ローリエの葉2枚、コショウ
ルー : バター40g、小麦粉大さじ1杯
Lapin
ウサギは、元々は鳥肉屋で売られていたが、最近では肉屋でも見かける。切り分けるのはちょっと大変なので頼んだ方がいい。そうすると、頭を取ってから、前足、太い後ろ足、それに胴を4つ、合わせて8つに切り分けてくれる。今回のレシピでは使わなかったが、よいダシの出る頭、そしてレバーももらって帰る。ウサギ肉は脂肪が少なく消化もよいが、その分、こってりとしたソースが合う。
Kriek
ブリュッセルを中心に古くから作られていたグーズ・ランビックというビールがある。酵母を入れず、ブリュッセルの空気が含むバクテリアと酵母だけで、3年間かけて自然発酵される。適度の酸っぱさと甘さのバランスがいい。これにサクランボ風味をつけたのがクリック。「突然死 La Mort subite」などというこわい名前のものもある。