台所で牛の赤ワイン煮を作っていたら、息子が2階から下りてきて「いい匂いだなあ!」。ボクは、料理にも使った赤ワインを飲みながらニッコリ。こういうのを幸せ、っていうんだろうな、とつくづく思う。
肉の煮込み料理は、肉の安い部分を、ふつう3時間くらいかけて、じっくり火を通していく。行きつけの肉屋の主人は、「今は、ポトフでも、脂身やゼラチン質がきらいだ、といってランプを買ったりする人がいるんだ! 昔は、安い牛のアバラ肉plat de côtesを使うのがふつうだったんだけれどねえ」と言う。牛の赤ワイン煮やポトフには、肩肉macreuse/paleronやスネ肉gîteを使いたい。安い分、少し多めに買ってこよう。というのも、たくさん作った方がおいしくできるからだ。煮込む時間はかかっても、ふたをして弱火で煮込んでいけばいいのだから、その間、本を読んだり、音楽を聴いたり、テレビを見ていたりすればいい。時々台所をのぞいて、かき混ぜたりするだけだ。それに比べ、日本料理は材料の下準備も含め、一度始めたらなかなか台所から離れられない。
さて、どうしても残った煮込みはどうしよう? ポトフなら、冷めた肉を薄く切ってサラダと食べてもいいし、スープはオニオングラタンなどに。今回のレシピの子牛のアバラ肉の煮込みやブランケットなら、カレーのペーストなどを適量加えれば、たちまち子牛のカレーに変貌(へんぼう)してしまう。もっと作っておけばよかったなあ!(真)