タラ科のメルランは、上品な味わいの白身の魚だが、身がぽろりぽろりとこわれやすいのがなんといっても欠点だ。値段も手頃で、消化もいい魚だから、料理法を工夫してどんどん食卓に登場させてあげたい。
信頼できる魚屋で、なるべく大きめのおろし身を買ってくる。まだ腹骨や中骨が残っていたら、専用の骨抜きやとげ抜きで、手を添えながら丁寧に取りのぞく。今回はフリッターとも呼ばれる洋風のテンプラbeignet。泡立てた卵の白身を加えるので、衣はテンプラより厚いけれど、ふっくらさくさくっとした感じだ。
まず衣の準備。卵の黄身をボウルにとり、水を加える。ボクは水のかわりにビールにする。その方がからっと揚がるようだし、かすかだがビールの風味も加わるからだ。軽く塩を振ってから、ふるいにかけた小麦粉を加え、泡立て器で均一になるまで混ぜ合わせる。ここへしっかり泡立てた卵の白身を、優しく混ぜ入れる。
次は魚の準備。おろし身を8センチの長さに切り、それをさらに縦に、なるべく大きさが同じになるように、二つ、三つ、四つに切り分ける。塩、コショウを振りかける。
深めのフライパンやテンプラ鍋に油をたっぷりとる。油は落花生油が一番だが、ヒマワリ油とオリーブ油を半々にするのもいい。中火にかけて、170度から180度くらいになったら、棒状のおろし身にたっぷりと衣をかぶせて揚げていく。温度が高すぎると、卵の白身が入っていることもあって焦げやすいので注意が肝心だ。からりときれいな焼き色がつくまで揚げていく。一度にたくさんの魚を入れると、温度が下がってカラリと揚がらないのは、テンプラと同じです。
揚げたての魚に、レモンを搾りかけ、塩の華をさっと振って食べるのが一番おいしいと思う。ビールや辛口の白ワインのいいおつまみだ。食事にしたい時は、自家製のマヨネーズを添え、ミックスサラダをたっぷり添えたい。子供たちにはケチャプを出せば、たちまち上機嫌になるだろう。(真)
4人分:メルランのおろし身500グラム、油、レモン1個、塩、コショウ
衣:卵1個、水またはビール100cc、小麦粉100g、塩少々
●卵の白身の泡立て方
卵の白身を泡立てることをmonter des blancs d’œufs en neigeというが、そのちょっとしたコツを紹介。きれいなボウルに卵の白身を入れるのだが、卵の殻や黄身が入らないようにすることが、まず大切だ。泡立て器を使って白身を勢いよく混ぜていくのだが、手を丸く回すように動かすと、空気がよく入る。白身が泡立て器につくようになったら、もうすぐだ。混ぜ過ぎるとざらざらした感じになるので注意したい。特にミキサーを使うと混ぜ過ぎになりやすい。ボウルを引っくり返しても白身が落ちないようになったらでき上がり。
この白身を、今回のように衣に、あるいはケーキの生地に混ぜ入れる時は、最初は1/3くらいを入れて、上下を大きく混ぜ合わせるようにしながら、加えていく。その後に残りを2回に分けて加え、同様に丁寧に混ぜ入れる。
●beignets de légumes
野菜の洋風テンプラもうまい。クルジェット、ナス、インゲン、赤ピーマンを揚げてみよう。クルジェットは四つに切り分けてから、中の種が入っている部分を切り取り、二つに切り分けてから、長さ8センチくらいに切る。ナスも同様です。インゲンは両端を切ってからそのまんま。赤ピーマンは二つに切ってから、ヘタと種、それに白く柔らかなところも切り取ってから、縦に幅1センチくらいに切り分ける。以上で準備完了。衣は今回のレシピとまったく同じ。半分はカレー粉を混ぜ入れてカレー風味にするのも面白いだろう。たっぷりと野菜全体に衣をかぶせて揚げていく。衣にきれいな色がついたらでき上がりだ。同じ衣で、エビを揚げてもおいしい。野菜なら他にも、アスパラガスやニンジン、カボチャなど水気の出ないものを。
●揚げ物の油の温度の見方
鍋で熱くしている油に、衣を垂らして、その衣が、底に沈んでから、ゆっくりと浮き上がってくる状態は150度から160度。衣が鍋の底につかず、油の中間位から浮き上がってくれば170度から180度です。油の表面でパッと散るようなら200度くらいで熱すぎだ。