今年のバカンスもウエサン島。島の名物料理はと島の人たちに聞くと、一応に「agneau dans les mottes。でもレストランのはまずい」と言う。
motteというのは、この島の至る所に生えている芝生が土状になったもののことで、アイルランドでも、たきぎや石炭代わりに使われているピートと同様のものだろう。強風が吹きまくるウエサン島には、ほとんど木がないから、これが大切な燃料源になっているのだ。
この島の子羊は、潮風にさらされて塩分を含んでいる草を食べているから、»Agneau pré salé»と呼ばれ、独特の味わいがあるとされている。そういえば、ウエサン島の住民は、ちょっとでも草地があると、羊を放し飼いにしている。ボクらの貸別荘の隣りの家も羊を2頭飼っていて、「バニラ」、「カラメル」と呼びながらかわいがっていた。「バニラは、今度の年末に家族が大勢揃った時に食べることになってます!」
そのagneau en mottes の作り方はというと、子羊肉をぶつ切りにして炒めてから、ココット鍋に、ニンジン、ジャガイモ、玉ネギと一緒に放り込んできっちりとフタをし、上下にmotteを置いて点火し、じっくりと蒸し煮したものだ、という。庭でそれらしきものを作っている姿は一度見かけたけれど、ボクらにとっては、今年も幻の料理で終わってしまった!(真)