時にはメランコリックな詩の世界

 『Cabaret Georges Brassens』
 コメディー・フランセーズの役者たちの歌の上手さは、ブレヒトの「三文オペラ」でも、オッフェンバックの喜歌劇「パリの生活」などで知っていた。そもそも戯曲の台詞、あの抑揚に富み、リズミカルな観衆を魅了する台詞自体がひとつの音楽だとすれば、役者たちの美声にはうなずける。いちばん小さなホールStudio Théâtreは、親密な雰囲気をつくるのにはちょうどよい大きさ、ここで昨年はボリス・ヴィアンの詩と歌を取り上げ、今年はジョルジュ・ブラッサンスに光が当てられる。
 我が家にもアルバムがあるのでブラッサンスは家族で口ずさんだりするけれど、どうしても好きな曲や代表曲が中心となる。あれ、こんな曲があったかしら?とこの度はこれまで気にしていなかった曲をたくさん発見、しかもブラッサンスが愛したジャズ風にアレンジされているのが嬉しい。「キャバレー」に想定された舞台では、顔見知りか常連だかが和気あいあい、ミュージシャンに伴奏されながら温かい雰囲気の中で歌を歌う。ただし歌うだけではなく、ちょっとした仕草だったり表情だったり、掛け合いだったり、という具合にとても自然に役者たちの演技が歌に寄り添っている。そうか、こういう場面だったのか、と歌だけを聴く時よりも歌詞が頭に入ってくる。
 もともと詩人を目指したブラッサンス曰く、歌の中で大切なのは歌詞よりも音楽、ただ音楽ばかりが目立つのはよろしくない。この舞台を観ながら、ブラッサンスが描き出す温かくてユーモアたっぷりで、時にはメランコリックな詩の世界は、あの単純そうで複雑なメロディーとの絶妙なハーモニーなしには存在しないのだ、と理解できた気がした。(海)
6/15日迄。水-日18h30。9€- 20€。
Comédie Française Studio Théâtre :
Galerie du Carrousel du Louvre
99 rue de Rivoli 1er  01.4458.9841
www.comedie-francaise.fr/