テレビで『トップシェフ』という料理番組がヒットしているせいか、パリのレストランの料理が逆に画一化している気がする。はやりの店では、どこでも「yuzu」を使い、少量の料理をどうやって食べていいのか迷うほどに高く積み上げている。そんな時に食べたくなるのが、おなかがいっぱいになる量をシンプルに盛り付けた地方料理。ノルマンディー地方のトリップ、ブルターニュ地方のコートリアード、アルザス地方のベックオフ、ブルゴーニュ地方のブッフ・ブルギニョン、オーヴェルニュ地方のアリゴ、バスク地方のアショワ…。でも味見してみなくてはどんな料理かもわからないが、こんな地方料理の店をパリで見つけるのは大変。著者はそんな店を見つけ出しては、写真入りで紹介している。すぐに出かけたくなる店ばかりで、よだれが出そう!
そしてフランス南西部のロット県「ブノージュ村の田舎暮らし」という章での、スリエおばさんのパスティスというお菓子の作り方がすごい。庶民の料理文化の高さに圧倒される。(真)