ゴッホ(1853-1890)もアントナン・アルトー(1896-1948)も、精神病院に収容された経験がある。その共通体験を基に、画商のピエール・ロブから「ゴッホについて書かないか」と言われたアルトーは、精神分析医によるゴッホ論に怒りを覚え、それに対抗して『ゴッホ-社会による自殺者』を口述で残した。会場には、ゴッホについてのアルトーの文章がちりばめられ、ゴッホの作品とアルトーのデッサンが展示されている。前衛芸術にも哲学にも大きな影響を与えた演劇人で、作家、詩人、素描家でもあったアルトーのゴッホ論を、ゴッホの作品を前にして視覚的に感知させ、アルトーの目を通してゴッホを見ようというのが狙い。ゴッホの作品を一堂に見られる。デッサンの中の自分を傷つけているようなアルトーの自画像には胸を突かれる。7/6迄(月休)。
オルセー美術館
画像:Vincent Van Gogh Portrait de l’artiste
© RMN-Grand Palais (Musée d’Orsay) / Gérard Blot