片側複数車線の道路を走る車の間を、バイクがスイスイと抜けていく光景(いわゆる「すり抜け」)はよく見られるが、フランスでは現在、この走行をめぐり、ちょっとした議論が起こっている。
11月29日、Conseil National de Sécurité Routière(交通安全評議会)により、「片側2車線ある自動車専用道路での、車線境界線上の自動二輪の走行を、時速50キロ以下において可能とする」かどうかという議論がなされているだけでなく、パリ、リヨン、マルセイユ、ブザンソンの4都市で、2014年内に、環状道路などにおいて、「時速50キロ以下の渋滞時に、片側3車線ある場合、2車線目と3車線目の間で、このすり抜け走行を試験的に導入してはどうか」という提案がなされた。つまり「すり抜け」の合法化案だ。
現在、この行為は道交法では言及されてなく、合法とも違法ともいえない状態となっている(日本でも、似たような位置付けだ)。すり抜け走行の合法化案に対して世論は賛否両論だが、「すでに数年前から横行していることを、試験導入して何の意味があるのか?」と言う声もちらほら。
現在、すり抜け行為自体は違法ではないとはいえ、①左側車線の車にとっては、右側から追い越しをかけることになる(違法のため135€の罰金と3点減点)②安全な車間距離を十分にとっていない(135€の罰金と3点減点)③2車線にまたがることによる正確ではない車線変更(75€の罰金と3点減点)――といった具合に、一発で免許没収限度の8点に達する行為になってしまう。
ちなみにベルギー、オランダ、オーストリアでは、すでに合法化済み。現在、フランスの教習所では「合法ではないため」生徒には教えていないので、ライダーたちは実践あるのみで行っているのが実態だ。そして、教えない方が危険だとする声もある。(和)