東欧2国民の就労自由化。

 東欧2国民とはルーマニア人とブルガリア人。 欧州連合28カ国中、ルーマニアとブルガリアは2007年に加盟国となったが、両国民のEU 圏内での自由就労は7年後の2014年1月1 日からと定められていたので、今年から彼らはEU国で労働許可なしに自由に働けるようになった。
 共産主義体制崩壊後、ルーマニア人口約2千万人のうち約400万人、ブルガリアは人口730万人のうち約100万人がスペインやイタリア、フランス、英国他のEU諸国に移民した。2008年からはすでに両国からの移住者に150種の職業の門戸が開かれ、2012年からはパン職人や理髪師、庭園師なども含む290種に拡大された。彼らの中には建設業界や農業分野でヤミで働く者が多く、キャメロン英首相などはEU諸国での彼らの就労自由化に強く反対していた。
 ルーマニアもブルガリアも、キプロス、クロアチア、英国、アイルランド同様、無国境のシェンゲン協定国ではないが、今年から両国民は他のEU国民と同様にどんな職業にも就くことができる。ここで問題になるのは、以前から存在する「出向者travailleur  détaché」だ。「出向者」は上記2国の企業や派遣組織によって加盟国に一時的に送られ、派遣先の雇用主は規定給与と労働条件を保証するが、社会保障費は出身国の負担率(20%前後、仏40%)を負担すればいい。こうした雇用者側に有利な条件によって、彼らの就労自由化により雇用ダンピングが増えるのではないかと、ドイツやフランスは懸念し、規制を強化していくようだ。 
 EU委員会の統計によれば今日、EU人口5 億600万人のうち1400万人が国外に在住し、3分の2は 就労者が占める。2004年のEU拡大でポーランド他9カ国が加盟したとき、フランス人の間で「低工賃のポーランド人労働者がフランス人の仕事を奪う」と噂されたものだ。
 ルーマニアやブルガリアでの平均給与は月400ユーロ前後。したがってかなりの医師や看護婦たちがフランスの病院にも勤務している。彼らの国外流出により本国の医療関係者の欠員が目立っている。また現地の医療費がフランス価格の数分の1なので、歯の治療や整形外科のためブルガリアやルーマニアの都市に観光兼治療に行くフランス人も増えているよう。
 ところでバルト3国の真ん中、ラトビア共和国がこの1月1 日から18カ国目の統一通貨ユーロ国になった。前通貨ラッツとの換算率は1ユーロ = 0.702804 lats。1991年にソ連から独立を回復したラトビアは人口2200万人、経済成長率5%ながら平均給与は月500ユーロ、14%の失業率を抱え、国民の40%が貧困層をなす。12月にラトビアの統計局が行った世論調査によると、ラトビア人の25%はユーロの導入を認めているが50%は反対だ。購買力の低下と物価の急上昇を恐れるからだ。一部の国民がユーロの導入に賛成した理由の一つは、ロシアの影響力から多少なりとも遠ざかることだったのだろう。
 足並み不揃いのEU大所帯。1月から6 カ月間、経済危機から完治していないギリシャがEU議長国として舵(かじ)をとる。ドイツやフランスなど重量級の加盟国を乗せて。(君)