ストラスブール、ノエル市が近づいている。
モミの木のクリスマスツリー発祥の地でもあるストラスブール。この町が最も輝き、観光客の数が最も多いのは、やはりノエル市Marché du Noëlの時期だ。ノエル市の歴史はフランス一古く、1570年から続いている。フランス最東端に位置するため日が沈むのも早く、ともすれば寂しい気分になりがちな季節だが、そんな夕暮れの中、各広場のノエル市で、屋台のイルミネーションがポツポツと灯り始める様子は、幻想的で、とても温かみがある。
常にノエル市巡りをする人の目印となるのが、ノートルダム大聖堂。赤砂岩の巨大な外観とそびえ立つ尖塔(写真に収めるのが大変!)は男性的で、初めて訪れる人を圧倒する一方、ファサードの柱状の装飾は、一転して繊細、優美。
この町の魅力は冬だけにとどまらない。春から秋にかけて、いたるところあふれる花々、中世からの町並みとイル川にかかる橋の組み合わせは、思わず足を止めたくなる美しさだ。
そんな季節には自転車も悪くない。ストラスブールは、フランスの中で自転車の利用がトップレベルで、市内を縦横に自転車専用レーンが走る。旧市街の市内観光が一通り済んだら、レンタル自転車〈Vélhop〉のブティックでサイクリング用の地図を手に入れ、イル川沿いやオランジュリー公園の緑の中を駆け抜けるのも心地よい。少し足を伸ばしてライン川まで行けば、歩行者と自転車専用の橋Passerelle des Deux-Rivesがかかり、隣のドイツの町、ケールに渡ることもできる。週末に、両岸の住民が入り交じりながら川沿いを散策する光景は、国境の町ストラスブールならでは。
最後に、アルザスワインとともに忘れてはいけないのが、アルザスビール。フランスのビールの6割は、ここアルザスで作られ、郊外に行くとホップ畑も目にすることができる。Kronenbourgを始め、Météor、Ficher、Licorneといった各銘柄のビールは、ストラスブールの人たちになじみ深いものばかり。そして、旧市街を歩いていると、思わぬところで「ミクロ・ブラッスリー」と呼ばれる地ビールの醸造所兼ビヤホールに出くわす。手軽にタルトフランベflammekuecheとビールが楽しめる〈Au Brasseur〉は、学生たちに人気があるし、中心街にある〈La Lanterne〉は、まさしく酒場といった風情で、ビールのタンクを横目に、いつ行っても夜遅くまで地元民でにぎわう。カフェのテラスでフランス風に優雅にドゥミ、あるいはブラッスリーでドイツ風に豪快にジョッキでと、両方楽しめるのがアルザス流だ。(五)
アルザスのノエル市
ストラスブール:11/30-12/31
コルマール:11/22-12/31 リクヴィル:11/30-12/29
リボーヴィレ:12/7-8、12/14-15
エギスアイム:11/23-24、11/29-12/23
ケゼルスベール: 11/29-30、12/6-8、12/13-15、12/20-23
ミュルーズ:11/23-12/29
レンタル自転車〈Vélhop〉が便利
La Lanterneのビールのタンク