フランスでは夏休み前になるととかくrentréeという言葉を使う。学校のほとんどは6月末で1学年を終え、9月がrentrée(新学年、新学期、活動再開)の時期とされているので、バカンスを前にややこしい話になると人々は気もそぞろに「その話はà la rentrée」というような返答をしてくる。大体子供たちの夏休暇が2カ月もあり、通年4カ月も休暇をとるフランスとは何なのだ!と常日ごろ憤慨している私だが、調べてみたら子供たちも労働力の一部と考えられていた20世紀前半には、夏の休暇は7月15日の麦秋=刈り入れ時からぶどう収穫の9月末日までと指定されていた。つまり2カ月半も子供たちは休んでいたのだった!
話を戻すと、演劇界を含むフランスのスペクタクル界にも毎年9月から翌年の6月末までのためにプログラムを予め組む、というシステムが第二次大戦後から存在する。だったら夏の間は?と私も悶々とこの夏探したけれどピンとくる収穫はほとんどゼロ。するとrentréeへの期待を膨らませるしかない、と調べてみる。
まず個人的経験では当たり外れがほぼ皆無のコメディ・フランセーズでは、モリエール、ラシーヌ、ラビッシュ、ユーゴーなど古典がたくさん組まれている。「古典ならここ」と娘も何度も足を運んでいるし、相当な予算があるので舞台美術の豪華さは期待できる。でなければ国立だけれどもアバンギャルドなプログラムを組むオデオン座やコリーヌ座も私は好きだ。でも実際にrentréeが始まったら、またまたたくさんの戯曲が登場する。それを発見するのが一番楽しいのだった!(海)
■Comédie française
http://www.comedie-francaise.fr/saison.php ?id=516
■Théâtre de l’Odéon
http://www.theatre-odeon.eu/fr/la-saison
■Théâtre de la Colline
http://www.colline.fr/fr/spectacles-saison-liste