シャルルヴィルはランボーの町。
フランス文学史上に流星のごとくあらわれ、わずか数年たらずで忽然(こつぜん)と去っていった天才詩人アルチュール・ランボー。シャルルヴィルの目抜き通り、レピュブリック通りに続くベレゴヴォアBérégovoy通りの12番地には彼の生家があり、一階は書店になっている。陸軍大尉だった父フレデリックと母マリー=カトリーヌの次男として生まれたが、やがて父親は家に寄り付かなくなり、アルチュールら4人の子供は母子家庭で育つ。
町のコレージュでも常にトップの優等生だったアルチュール。彼の足跡をくわしく知りたいなら、現在「ランボー河岸」と呼ばれるムーズ川のほとりにある、17世紀の水車・粉挽き場を改築した記念館がおすすめだ。自筆文書はもちろんのこと、遺品や写真などが展示されている。記念館の向かいには、彼が思春期を過ごした家が「Maison des ailleurs(異郷の家)」として一般公開されている。こじんまりとして落ち着いた中庭のある建物では、各部屋ごとにパリ、ロンドン、ブリュッセル、アデンなど彼の生きた都市を音響や視覚効果などで幻想的に演出していて面白い。16歳のときから出奔を繰り返し、ついには中東の武器商人として終わる詩人の放浪人生はこの小さな家からはじまったのだ。
「あのひでぇチャールズタウン(シャルルヴィルを英語化したもの)がなつかしいぜ」などといった言葉が友人あての手紙に見られるが、故郷への思いは愛憎がないまぜだったのだろう。遠くへ遠くへと放浪の旅をつづけ、マルセイユで骨肉腫のため37歳で生涯をとじた永遠の反逆児は、市の共同墓地に家族とともに眠っている。(康)
Charleville-Mézières
「シャルルヴィル」の名は、1606年に、この町を創ったシャルル・ド・ゴンザーグ大公に由来する。その後は商業と製鉄の中心として繁栄。当時をしのばせる黄土色の石と赤いレンガの建造物がひしめく旧市街が美しい。隣のメジエール市と1966年に合併され、シャルルヴィル=メジエール市となった。住民はカロロマセリヤンと呼ばれる。
●アクセス
パリ東駅からランスまでTGV。ランスでローカル線に乗り換え。その待ち合わせ時間も含め1時間40分~2時間。片道44€。駅から町の中心広場まで徒歩約12分。駅前から町の中心部に向けてバスもある。
●観光局 Office de Tourisme de Charleville-Mézières
レンタサイクルのサービスあり。
4 place Ducale 08102 Charleville-Mézières 03.2455.6990
●ランボー記念館 Musée Rimbaud
10h-12h/14h-18h。月休。5€(18歳未満無料)。
ここの入場券で、Maison des Ailleurs、アルデンヌ地方博物館が無料(2日間有効)。今年末から2015年にかけて大改修(閉館)予定。
Quai Arthur Rimbaud 03.2432.4465
●Maison Rimbaud-Maison des Ailleurs
ムーズ川のほとり、ランボー記念館の斜め向かいにある、ランボーが思春期を過ごした家。ランボーの旅をテーマにしたインスタレーション。10h-12h/14h-18h。月休。
7 quai Arthur Rimbaud 03.2432.4465
●Musée de l’Ardenne
国立人形劇学校の隣にあるアルデンヌ地方博物館。
10h-12h/14h-18h。月休。
31 place Ducale 03.2432.4460