パリ市長選女対女の対決。

5月29日付リベラシオン紙。
5月29日付リベラシオン紙。
 6年毎の市議会選挙が来年3 月9日、16日に行われ、ドラノエ現パリ市長は2001年以来2期、12年の任期を終える。同市長後任候補に社会党員の98%が選出したアンヌ・イダルゴ(54歳)は、12年間ドラノエ市長の第一助役を務める。
 一方、右派の民衆運動連合(UMP)は5月31日〜6月2日ネットによる投票(約2万3 千人参加)を行い、前環境相ナタリー・コシュスコ= モリゼ(以下NKM)が58.16%を獲得しUMP筆頭候補に選ばれた。党内ではNKMが国民議会での同性婚法案採決時に棄権したことを根にもつ者も多い。エッソンヌ県選出国民議会議員兼ロンジュモー市長NKMのパリ進出は、政治的野望につながる跳躍台に過ぎないと、イダルゴ左派候補はなじる。
 NKM(40歳)が一般市民の目には、ブルジョワ出ととれるのは、ポーランド系ユダヤ人の祖先をもち、曾祖父時代から市長や議員、祖父は大使、父親も市・県議というエリート層の血筋を継ぐからだろう。UMPは、サルコジ大統領落選以来指針を失い、昨年秋には醜いコペ対フィヨンの党首の座争奪戦でバラバラになり、各市で国民戦線FN党に押されぎみの既成野党として、美人でブロンド、サルコジ前大統領やフィヨン前首相にも庇護されたUMPの看板娘、NKMをパリ市長選に担ぎ上げざるをえないのだろう。
 アンヌ・イダルゴは1960年代に家族とともにフランコの弾圧を逃れてきた。父は電気工、母は縫い子としてリヨンに落ち着く。1982年以降、ヒダルゴは労働基準局勤務、94年社会党員となり、01年ドラノエ・パリ市長第一助役に抜擢。彼女の2番目の夫ジェルマンはオードセーヌ県選出議員でオブリ元雇用・連帯相の片腕 だった。
 ドラノエ市長は12年間パリの交通地獄解消のため車排除の政策をすすめてきた。歩道拡大、車道の縮小、バス・自転車専用道路の設置、環状道路上にトラムウェイ開通、ヴェリブVélib(貸自転車)にオートリヴAutolib(レンタカー)とパリジャンに便利な街に変身させてきた。Vélibは07年に開始以来、利用回数約1億2 千万、昨年開設のAutolib登録者2万5千人の年間利用回数は約160万回。同政策を継ぐイダルゴ候補のもう一つの課題は、パリ市内での公営住宅の建設増加だ。NKMに「先代譲り」の政策と侮られないためにも左派政治家としてのプロフィル作りに懸命。多世代混交の文化スペースや英国式スピーカーズ・コーナーの開設などに力を入れる方針だ。
 30年来の区民人口の変化にともない社会党は減少区1/2/3/4区の合併案を提出したが憲法評議会で退けられた。近々議会に提出される法案は、上記保守派の4区から市議を1人ずつ減らし、人口が増加中の10/15/18/19/20区(左派系)に市議を1人ずつ増やす案で、右派市議がますます減少するはめに。この市議配分案にNKMは強く反対し、パリ市長を大統領同様に直接普通選挙で選ぶべきと提案。イダルゴ候補は、NKMの提案を「戦術的、中央集権化への逆行」と批判する。 
 1983年以来、シラク(17年)、チベリ(6年)と右派市長後のドラノエ市長(12年)で、パリが左派市長から右派に逆行するには、20区の過半数が右派で占められなければならない。(君)