ウソはいつかバレる。

4月17日付パリジャン紙 「誠実?」
4月17日付パリジャン紙 「誠実?」
 政治家は二枚舌で嘘つきでないと続かない、という真実を証明したのは、昨年12月に情報サイト「メディアパール」が暴露して以来4カ月間、「スイスに隠し口座を持ったことは過去にも現在にもない」と議会、大統領、首相、国民にも嘘をつき続けたカユザック前予算相だろう。整形外科医からクロード・エヴァン元保健相顧問に。製薬業界との関係を利用し巨額の賄賂を得、ヴィルヌーヴシュルロット市長、国民議会議員、予算相の座まで立身出世の一途をたどる。
 1992年以来スイスのUBS銀行に60万ユーロの隠し口座を所有。09年、欧米のスイスの銀行への規制が厳しくなり、シンガポールの銀行に隠し金を移す。口座に関する彼の電話の会話まで公開され、4 月2日ついにブログで自白、脱税容疑者となり辞任。社会党からも除名。野党議員の批判の矢はモスコヴィッシ経済相にまでおよび、1月以来、部下の隠し口座疑惑に通じていたはずと経済相の調査の怠りを責める。16日、前予算相はTVで国に混乱を招いたとし「政治家を辞める」と表明。オランド大統領がカユザックを信頼し、富裕層の脱税監視を担う予算相に任命しただけに、大統領もエロー首相も彼の「虚偽・裏切り」で顔に泥をぬられ、怒りが爆発。
 大統領は政界人の隠し口座・脱税を根こそぎ退治するため緊急対策を4 月10日に発表。政界人の個人財産の「透明化」、財政専門の検察局の設立、国別タックスヘイブン総リストの公開化など。が、国際報道ジャーナリスト連合(ICIL)のデータ「オフショアリークス」によると、税金逃れのオフショア会社は全世界に約12万社、13万人の個人が他人名義などで隠し口座を所有。緊急対策の目玉は、欧米諸国が実施している閣僚・議員の個人財産届け出の義務化。不動産から預金、車、美術品、宝飾品まで公表しては金持ち議員と貧乏議員がはっきりし、国民の好奇心をあおるポピュリスト的対策と、バルトロヌ国民議会議長をはじめ与野党議員らは不満顔だ。
 カユザック事件でめずらしくカっとなったオランド大統領の閣僚教化の荒療治として、4月15日、閣僚全員の個人財産明細を政府サイトで公表した。トップは650万ユーロ所有のファビウス外相。「敵は金」と「金持ちを嫌う」オランド大統領の政治家教化対策は、ミッテラン大統領の警告「金は人の意識を堕落、腐敗させる」に通じる。
 ところで昨年9月、「ブランド帝国王」ベルナール・アルノー氏が税金逃れのためベルギー国籍取得の申請をしたニュースが話題になり、昨年暮の俳優ドパルデューの同種のベルギー移住とロシア国籍取得でかき消されたが4月10日、アルノー氏が同申請の取消し願いをベルギー当局に提出したと表明。「フランスに愛着をもち、フランスの未来を信じている」と億万長者らしからぬ言い分。税金逃れのためフランス人をやめると思われてはLVMH製品の愛用者に対しブランド帝国の名折れだろうし。悩みのタネは先妻・後妻の子、計5人の相続税問題であるようだが、そのための財団をベルギーにすでに設立。億万長者の心変わりはオランド大統領にとって、閣僚が起こしたスキャンダル禍の中の一つの慰め?(君)