クロード・ショップ氏にインタビュー
クロード・ショップ氏はSociété des Amis d’Alexandre Dumas(アレクサンドル・デュマ友の会)代表。
デュマ研究を始めてから45年、デュマの伝記の著者でもあるショップ氏。19世紀フランスが生んだ大作家の魅力を語ってもらった。
大学院でデュマ研究を始めた理由は?
当時、アカデミックな世界でデュマは軽視されていました。だから、デュマを研究対象にすれば、膨大な資料を読むことなしに直接作家の文章にあたることができたのです。この選択は一つの戦術で、いわばお見合い結婚のようなもの。それが、デュマを知るにつれ恋愛結婚へと進化していきました。デュマの作品と人生は驚異です。彼は、文学界の「Ogre(食人鬼)」だったのです。ジョルジュ・サンドやバルザックもそうですが、彼らはその人生をむさぼるように生きました。これだけたくさんの作品を書きながら、その人生までが充実しているのは驚くべきことです。
デュマが書いたものを検証し、ひとつひとつ事実を発見していくのは私にとって喜びです。デュマは、とても愉快な相棒。予期できない、ちょっと狂った面もあり、それがまた楽しい。私のよく知っている友人以上に、デュマのことの方をよく知っているように思います。
フランス人に愛されるデュマの作品の特徴は?
デュマの話にはストーリー性があり、もともとデュマは演劇界の人間ということもあって、会話がたくさん出てきます。バルザックの描写などは難解で「この本を読み終えることができるかな?」と思わせますが、デュマの本は簡単に読み進められるところがあります。そのスタイルは、非常に現代的だといえるでしょう。それが、今でも多くのフランス人が、デュマのファンを自称する理由の一つなのだと思います。
そして、その普遍性もデュマの作品の特徴です。『Les Trois Mousquetaires(三銃士)』を読んだことがなくても、誰だってその話を知っている。フランスで男が3、4人集まったら、私たちは彼らを「mousquetaires」と言います。たとえば、テニスの試合で有能な選手が集まったら、私たちは彼らのことを「我らが三銃士」と呼んだりするわけです。
デュマ作品のおすすめは?
『三銃士』、『20年後』、『ブラジュロンヌ子爵』の連作、それから『モンテ・クリスト伯爵』は、大きなダイヤモンドのような作品で、必読書。他にも、『Le Capitaine Pamphile』や『Le Pays Natal』など、小さな真珠のようなすばらしい作品がいくつもあります。
Editions Fayard刊、30.5€。