UMP総裁選ドタバタ劇。

11月24日付リベラシオン紙。
11月24日付リベラシオン紙。
 11月18日、民衆運動連合UMP党員による総裁選挙が各県で行われ約30万人のうち約17万6千人が投票(そのうち3万が代理投票!)、翌日選挙管理委員長は、コペ現総裁が「98票差で当選」と彼の再選を宣言した。フィヨン前首相は、世論の65%が支持していただけにこの信じがたいコペの得票率(50.03%対49.97%)にあ然とし、UMPの「倫理・政治的亀裂」と沈痛な敗戦宣言。
 2年来コペ総裁は「コンプレックスのない右派 Droite décomplexée」を看板にフィヨン前首相の中道的姿勢をあざけり、ムスリム系住民が、チョコパンを食べようとした子供に「ラマダン中だから食べるな」とそのパンを取り上げたというエピソードを遊説中繰り返す。サルコジ前大統領が唱えた「国民アイデンティティ」推進の旗手であり、前大統領の自称後継者として総裁の座は誰にも譲れない。フィヨン前首相が前政権在任中、コペ総裁・候補は党組織を利用し、敵に有利な地区の投票所を少なくしたり、コペ支持地区では彼に投票する代理投票を異常に多くし、選挙運動後発のフィヨン陣営に不利な状況を設定し追い込む。
 選挙2日後、海外県マイヨット島とニューカレドニア、南太平洋のウォリス・フツナ島の1304票が含まれていなかったことが発覚、選挙管理委もそれを認め、数えてみたらフィヨン候補が26票強。が、同候補は「98票か26票差による当選は無意味。UMP創立者でありシラク政権元首相、ジュペ・ボルドー市長に仲介に入ってもらい、それでもだめなら裁判に持ち込む」と表明。コペは敵の策略にはまるまいと「ジュペはフィヨン寄り」とジュペによる話し合いの条件も拒否し、休戦ならずジュペはサジを投げる。犬猿の仲、憎悪丸出しのコペ対フィヨンの攻防戦中、党内不服申し立て委員会が票を数え直し、不正があったとされるニースとニューカレドニアの2カ所の投票所の結果を無効にしたらコペが946票多く獲得!  コペの勝利を認めないフィヨンは「政党はマフィアじゃない」と敵の戦略をマフィアにたとえる。
 最後の救世主、サルコジ前大統領の裁断を仰ぐしかない。彼はベタンクール夫人関係の07年選挙資金疑惑で11月22日、ボルドー地裁予審判事に12 時間にわたる事情聴取を受けていた。党内の「兄弟ゲンカ」への介入を避けてきたサルコジ前大統領は、3カ月以内に再選挙をすべきかどうかを問う「党員投票」を提案したが、コペ現総裁は条件が合わないとしそれも拒否。次期総裁が決まるまでジュペに暫定的総裁代理を務めてもらうというフィヨンの提案もはねつける。両候補のギニョール並みの相討ちは新年まで続きそう。フィヨン派議員はUMPから次々に離党し11月27日、前首相を党首にR-UMP(UMP再結集)を結成。12月4日から国民議会でR-UMP議員72人がUMP議員席と一線を引く。国家からの政党資金(議員1人4万2千€)の来年度のUMP資金が72人分約300万ユーロ減るわけで同党は財政的にも火の車。
 UMPの将来を危ぶむ議員らに誘いの手を差しのべるのは、10月21日に結成された中道派独立民主連合UDI党首ボルロー元環境相と、極右国民戦線FNマリーヌ・ルペン党首で、保守大一党分裂後の落人の受け皿になろうと懸命。右派のバルカン化で、2014年市議会選挙は、UDI とFNによる右派票の争奪戦になるのは明らか。(君)