昨年から今年にかけてアルゼンチン料理店がいくつかオープンし、話題となっている。この店もそのひとつ。とはいえ、ここではアルゼンチンの名物料理というよりも、フレンチの一流レストランで腕を磨いたシェフの繊細な、アルゼンチンとフランスをミックスしたような料理が味わえる。
上質の肉料理がメインとなるため、高級感のあるアルゼンチン料理。夜はアラカルトなので、50€くらいの予算が必要だが、昼ならば、2皿で16€、3皿で19€と手が届く価格帯で嬉しい。
本日の献立を覗くと、前菜がカツオのセヴィーチェとチキンのテリーヌ、メインがビンナガマグロのステーキとチキンのプランチャ。友人とそれぞれを半分ずつにすることにして、お供にはスタッフのおすすめでボジョレーのフルーティな白、”escapade”をグラス(6.5€)でとることにする。
前菜で気に入ったのはテリーヌ。自家製だけあってシンプルながらも味わい深い。セヴィーチェはもう少し酸味があってもいいかなと思ったが、キュウリと合わせてさっぱりと涼しげだ。
メインは豪快なマグロのステーキに一票。半生加減の火の入れ具合もいいし、トマトの入ったロメスコソースの彩りが美しく、下に敷かれたナスのコンフィと、細長く切ったショウガがいいアクセントになっている。鶏肉のプランチャにも脱帽。カリカリに焼かれた黄鶏に、コンフィ状になったエシャロットをからめて食べる幸せ。ホクホクのジャガイモも隠れているので、結構ボリュームもあり。
デザートはメキシコ産カカオのチョコムース。見た目も美しいが、うっとりするほどの大人の味でまた食べたくなる。もうひとつは、南米でポピュラーなミルクジャム〈ドゥルセ・デ・レーチェ〉の泡々とバニラ風味のリ・オ・レ。子供も喜びそうなやさしい甘さ。
ランチでシェフの実力をばっちり確認できたので、今度は特製エンパナダスとアルゼンチン牛のグリル〈シュラスコ〉に挑戦したい。(里)
La Pulperia
Adresse : 11 rue Richard Lenoir, 75011 parisTEL : 01.4009.0370
火〜金 12h-15h/19h45-23h30 月・土 9h45-23h30。