5月末から10月くらいまで、葉つきのまま結わえられているビーツbetteraveが八百屋の店頭に出る。ビーツは日本人にはあまりなじみのない野菜。そういうフランス人だって、ふつうは、すでにゆで上がったものを買ってきて、サイコロに切ってサラダにするくらいだ。ビタミンA やK、カルシウムが豊富、さらにビーツの赤い色をつくっている色素ベタニンには抗ガン性もあるというこの根菜、どんどん利用したいものだ。生のビーツは、小さめで表面があまり乾いてなく、葉ができるだけみずみずしいものを選ぶこと。このビーツの赤い色を生かした、ロシアの名物料理、ボルシチはすでに書いたことがある(640号)。今回はオーブンを使ったホイル焼き。
下準備に手がかからない一品なので、まずオーブンの目盛りを180度に合わせて点火しておくといい。
ビーツは葉を切り落とす。ビーツの皮をむき、二つに切り分ける。アルミホイルを50センチほどの長さに切り、半分が外に出るようにして、オーブン皿に敷く。ビーツを重ならないように並べ、その上からオリーブ油、バルサミコ酢を振りかける。コショウを多めに挽きかけ、軽く塩をする。ホイルを破らないように気をつけながら、全体を混ぜ合せる。最後にきざんだコリアンダーの葉を散らしたら、ホイルを折り重ね、縁を折り重ねながらしっかりと閉じる。
熱くなっているオーブンにオーブン皿ごと入れる。ビーツの大きさ次第だが、45分から
1時間くらいで焼き上がる。食卓にそのまま出し、みんなの前でホイルを開けると、コリアンダーとビーツならではの独特の香りが立ち昇り、歓声が上がる。開ける時、ヤケドしないように気をつけてくださいね。そのビーツを口に含むと、ちょっと独特の土くさい甘さが凝縮されている。コリアンダーとの相性も抜群。材料費や手間がかからない割りには見ばえがするので、この季節、友人たちがやって来た時によく作る前菜だ。(真)
4人分:ビーツ1束、コリアンダー1束、
オリーブ油大さじ4杯、バルサミコ酢大さじ1杯、
塩、コショウ
cuire en papillotte
食材をホイルや硫酸紙で包んでオーブンで焼いたり、蒸したりする調理法をen papillotteという。硫酸紙の場合は折り重ねてからホッチキスで留めるといい。食材の栄養分やうま味を大切にする優れた調理法だ。包みを開くまで何が入っているか分からない、という演出もできるし、開いた時に立ち昇る食材やハーブの香り! とにかく魚料理には身がくずれないしおすすめの調理法。サケの切り身、ヒメジrouget barbetやヒラメturbotのおろし身に、オリーブ油や白ワインをふりかけたり、好みのハーブを散らしたりしてから、塩、コショウして包む。15分から20分くらいで火が通る。
cuire en papillotte